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私が現金払い主義者の生存権を訴える理由 ~自分自身は電子マネー派だけどね~

現金払いを嫌悪する人

先日、こちらの記事がはてなの人気記事に入っていましたので、拝見しました。

要旨としては、以下のようなものです。

  • レジでの現金払いは、時間の無駄だ
  • クレジットカード(や電子マネー)での支払いに比べて、10秒は損している
  • しかも、自分の後ろの人の人の時間まで奪っている
  • クレジットカードを持つことのリスクなんて、無視できるほど小さいものだ
  • 今時、レジでクレジットカードを使わないなんて、もはや「低級国民」と言われても文句の言えない所行である

それに対する私の考えたことは、以下のようなものです。

  1. レジでもたつく人にいらだつ気持ちは、よーく分かる。自分も、極力Suicaで支払いを済ませます(私の場合は、メインがポイント目当てだけど)
  2. 1日あたり「10秒の損失」という設定は、非常にフェア。ただ、そのせいで結論の威力が……
  3. クレカのリスクを重くみる権利は、個々人にあるよなぁ
  4. この方にとって、「時間の無駄」の定義は、何なんだろう
  5. 人は、「自分より劣った(ところのある)人」を、どれだけ見下して許されるんだろう

1.気持ちは分かる。確かに分かる。

これは、書いたとおりです。私は極力、お会計をモバイルSuicaで済ませるので、現金払いでモタつかれるとイラだつことがあります。
ただ一方で、「チャージ金額が足りなくて、自分がモタつく」こともあるので、あまり偉そうなことは言えません。
時々、「Suica専用レジ」を使うことで行列をスルーすることができるので、そのときばっかりは、多少得意な気持ちにもなりますね。

2.10秒の損。フェアだけど損な試算

「1日あたり10秒の損」と聞いて、あなたはどう思うでしょうか。
私は、「損しないに越したことはないな」「でも、そこまでの損失とも思わないな」くらいに感じます。
その10秒のせいで電車を逃すとか、何か追加の損失があれば辛くなりますが、それは「10秒の損失」ではなく「○分の損失(○には、あなたが使っている路線の電車頻度を入れよう!)」です。
1日10秒! 10秒も損しているんですよ!と言われても。
そこまでいらいらしなくても。
と思ってしまいます。

また、先述したとおり、「10秒の損」って、かなりフェアな、控えめな線だと思うんですよね。
実際、現金払いと電子マネー・クレジットでの支払いって、所要時間の差はそんなもんだと思います。
Suicaだって、「レジがSuicaの入力待ちになる」までに、数秒かかりますしね。
それを「1日1回」「平日のみ」で試算するって、どれだけ自分に有利な試算をする気がないのかと。
平均で言えば、確かにそんなもんかもしれませんけど。
「毎日」にしたって、いいんやで?
1日2回で試算したって、いいんやで?
「1日20秒の損失」じゃあ、キャッチコピーとしてキレが悪いから避けたのかもしれませんけど。

3.リスクを評価する権利

本文のラストでは、「リスクがあるからクレジットカードを持たないなんて言ってる奴は、単なる言い訳をしているだけ」ってな感じで結んでいます。
いや、別にいいじゃないですか。

クレジットカードを利用する事によるリスクは、確かにあるんです。
金銭感覚の乱れで金を使いすぎてしまうこと、それが「カード破産」と呼ばれるレベルに至ること。
カードの情報が、望まない対象に(合法にせよ非合法にせよ)漏れること。
れっきとした、実在のリスクです。

例えば無駄遣い。
1日10秒をケチった結果として、1日平均100円(月3,000円)も無駄遣いしたら、普通は「損」ですよ。
この金額って、「現金を扱わないことで気が大きくなる」という現象が少しでも起きたら、あっさり使っちゃう額です。

人が「気にする」ことと「気にしない」ことには、当然個人差があります。
好みとか信条とか恐怖感とか。
「気にする」範囲が「健全な社会生活を送れない」範囲になると、精神病扱いされたりするわけです。
例えば、「怖いから」という理由で自動車に乗るのを完全拒否するようだと、よっぽど仕事やつきあいを選ばない限り、社会生活に問題がでてきます。
強迫観念で「怖くて乗れない」だったら、それは治療が必要という判断もありえるでしょう。
しかし、「無駄遣いや個人情報の流出が怖いから、クレジットカードを作らない」は、充分に健全な範囲の選択だと、私は考えます。

職業柄クレカが必須なのに作らなくて、とか、ネット通販は利用するから人のクレカを使わせてもらってる、とかなら、話は違いますけどね。

4.「時間の無駄」の定義って

他の記事も拝見しましたが、筆者の方は普段から、時間の無駄に厳しい態度で望んでいるようです。しかし、複数記事を読んで、この方の考える「時間の無駄」の定義がよく分からなくなりました。クレカを使うのが正義である理由として「待ち時間がGDPを押し下げるから」だと言いますが、「月間1,000円を稼げないブログ」の記事を毎日執筆しているとしたら、執筆時間は1日0.5時間として、15時間/月です。
時間あたり利益は1000÷15≒170円/時間未満になります。
10秒間の利益は0.5円未満です。

気分の問題で飲み会やカラオケを断るのは正当な権利だと思います。
しかし、「GDPに貢献すること」を「正義の基準」として持ち出してしまうと、「ブログなんて書いていないでカラオケや酒を消費して、日本経済に貢献しろ」となってしまいませんか?

5.人を見下す正当性の在処

人は、他人を評価します。
褒めたりけなしたり、提言したりします。
私も「意見表明」をしたくてブログを書いているのですから、似たようなことをしているはずです。
にも関わらず、私は彼のブログを読んでいて、抵抗を感じることが多々ありました。うなずく内容も多いのですが。

なぜなのかな、と考えていたのですが、一つ、自分で納得した理由があります。
彼は、「異なる意見を持っている人」「異なる価値観を持っている人」を、「劣った人格」として評価することにためらいがないからです。
「資産価値を正しくとらえ、優秀な自分」と「低級国民達」みたいな構図の記事が多く、資産形成に成功しているらしいことへの嫉妬も手伝って、嫌な気分になるのです。

嫌だなぁ、と思っても、仕方ないですよね?

結論

結局、彼に対する私の意見は
「気持ちは分かるけど、そこまで攻撃的になることないじゃないか」です。
こんなこと言ってると、読んでもスッとしないから、読者は増えないのかもしれませんね。
(今井四郎)
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

「嫌われる勇気」と、「他者への攻撃へのためらいのなさ」は違うと思うのです。