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『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』面白さの3つの理由~ばっちり押さえた基本と、「お約束」の逸脱と~

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』面白いですね。

今期は何作品かアニメを視聴していますが、一番楽しみにしています。(次点は、『Fate/Zero』の再放送ですかね。本放送、観てなかったんですよ)
面白い作品の中には「なぜ面白いか説明不可」というものも時折あるんですが、この作品は「説明可能な面白さ」もきちんと持っているので、今日はそこを語ろうかと思います。

  1. 基本に忠実な面白さ
    1. 達成目標の明確さ
    2. キャラクターの格好良さ
  2. 基本を外したキャラ造形の魅力

1.基本に忠実な面白さ

1.1.達成目標の明確さ「勝利する」「生き延びる」「存続する」

第1話を観て「面白いな~」と思ったとき、私はついつい、最近のガンダム作品である『Gのレコンギスタ』と比較してしまいました。あれと違って、「きちんとエンタテイメントしてるな」と。
実は同作品(Gレコ)、断片的にしか視聴していません。
ただ、3話くらいまでは(再放送で)きちんと視聴して、「う~ん?」と思いました。

感想は「物語の山場が分からん」「何してるか分からん」「何がしたいのか分からん」「台詞のクセ強すぎ」という感じ。
連載マンガにせよ連続アニメにせよ連続ドラマにせよ、特定単位ごとに提供される物語は、単位ごと起承転結を楽しめるのが理想です。

そして、鑑賞者がハラハラドキドキを楽しむには、まず「登場人物の目標」を理解する事が近道です。
「生き延びたい! だからあそこから脱出しないと!」とか、
「仇を殺す! あいつの命を奪うんだ」とか。

目標が分かると、達成できるかできないかのドキドキハラハラが生まれます。
別に、登場人物が「達成できない」ことを祈って楽しんだっていいんです。ヤッターマンドロンボー達みたいにね。

登場人物の目標が分からないと、なにか行動を起こされても、「うん。で?」となってしまいます。
すいません、オルフェンズを誉めるのにかこつけたGレコの悪口はこの辺にしておきます。

オルフェンズは、その時々の達成目標がはっきりしています。
戦闘時は基本的に「生き延びること」「そのための勝利」が目標になっていますし、時々の敵の勢力も限定的なので、「こいつに勝てば生き延びられる」というのがはっきりしています。視聴者も、それを一緒に願うことができる。

戦闘の合間合間の行動も、「鉄華団として商業的に成功し、食い扶持を稼ぐ」と分かりやすいです。かつ、納得もしやすい。
ここらへんの単純化は、感情移入を容易にします。
話数1単位ごとに、きちんと「ピンチ」と「達成」を見せてくれるので、ストレスなく楽しめます。

1.2.キャラクターの格好良さ

人間キャラクターのデザインを担当したのは、漫画家の伊藤悠さんだそうですね。
この人の絵柄、好きなんですよ。
皇国の守護者』の、かわいさと格好良さ、残酷さが同居した絵柄がたまりません。
皇国の守護者 (1) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

皇国の守護者 (1) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

主人公の三日月(ミカ、という呼ばれ方もかわいい)の造形は、ちょっとかわいい。
もう一人のメインキャラ、オルガは正統派イケメン。
そしてどちらもマシンに乗る時は上半身裸です。

脱がないと操縦できないマシンとか、スタッフ考えやがったな! 次は女子でやってくれ! 不自然な湯気とかあってもいいから!
男でも「おお!」となる筋肉ですから、テレビの前の大きなお姉さま方は、さぞお喜びだと思います。

マシンもかっこいいですね。
どうしてもやられ役になってしまうモビルワーカー。あれのデザインもかっこいいと思いますよ。

しかし、作品を観ていて一番「おおお……!?」と思ったのは、そういう「正統派」な部分ではないところでした。

2.基本を外したキャラ造形の魅力

お嬢様近辺の描写の心地よさ

第1話。
ヒロインであるお嬢様、クーデリア(お金持ち。政治活動家。以下、クーちゃん)は、自分の警護役である主人公・三日月オーガス(親もいない少年兵。ミカ)に対して握手を求め、拒否されます。
「私は、あなた方と対等であろうと……」
手が汚れてたんだよ、気遣いなんだよと述べるミカは、こう付け加えます。
「それって、俺らは対等じゃない(対等であろうとする「努力」「気遣い」の対象)ってことですよね」

ぐはっ!?
結構アニメのお約束を知ってるはずの人間として、この台詞が「不意打ち」に感じられてしまったのは、ちょっと悔しくもありました。
この台詞までは、フィクションを楽しみ続けてきた人間として、予見のしようもあったと思います。

本当にびっくりしたのは、第3話のクーちゃんの台詞でした。
ここまでクーちゃんは、自分の知らない「虐げられた世界」を目の当たりにし、無力感を募らせていきます。
存在は知っていて、自ら根絶を呼びかけていた「世界の悲劇」。
これを本当には知らなかったのだと、打ちのめされるわけです。

そして、政治的な理由からクーちゃんを拉致しようと、軍事勢力がミカたちを襲います。
そして、クーちゃんの引き渡しを求めるのです。
ミカたちを犠牲にはできないと、自分を引き渡せと申し出るクーちゃん。
その時の台詞が、ここ(第5話現在)までで、最高の台詞でした。

「私はただ死ぬつもりはありません。なんとか話を聞いてもらえるようがんばってみます」

私は、この台詞を聞いて、震えました。
弁舌型の平和主義者、しかも女性の定型キャラなら、「話せば分かるはずです」とお花畑に主張すべきところです。
そうでなければ、死の恐怖に、おびえまくるところです。

  • 弁舌の効果への盲進もなく
  • 死を覚悟しながら
  • なお、自らの弁舌に命を懸ける

……だと……!?

クーちゃんと、クーちゃんのキャラ造形をしたスタッフについて行く、と決断せざるを得ない台詞回しに、ドキュウウウウン!でした。

ついでにミカ

3話でミカが「決闘」する相手のおじさん、結構いい人なんですよ。負けますけど。
武人然として、「子供は殺したくない」と発言し、かなり好人物として描かれていました。
その人の最期は、介錯してくれるミカに対する
「あり、が、(パン、パン、とここでミカの銃声にかき消される)」
「ありがとう」すら言わせてもらえない!?

普通だったら、「あり、が、とう……」(いい感じの間)(響きわたる銃声)で充分なところです。
そこは、お約束のテンポを外してきている。
他のところで、視聴者が話の運びに信頼感を持てているから、このお約束外しが演出ミスなどではなく、「おじさんの格好を付けた台詞にうんざりした、ミカの人間らしさ」「フィクション臭くない、活き活きとしたキャラ描写」として映るのです。

基本を押さえているから、要所の基本外しが映える。
いいものを見せていただきました。

まとめ

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』とっても面白いです。
クーちゃん、いい子でおっぱい大きいし!
……あれ……?(今井四郎)