『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』面白いですね。
今期は何作品かアニメを視聴していますが、一番楽しみにしています。機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 1 (特装限定版) [Blu-ray]
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面白い作品の中には「なぜ面白いか説明不可」というものも時折あるんですが、この作品は「説明可能な面白さ」もきちんと持っているので、今日はそこを語ろうかと思います。
- 基本に忠実な面白さ
- 達成目標の明確さ
- キャラクターの格好良さ
- 基本を外したキャラ造形の魅力
1.基本に忠実な面白さ
1.1.達成目標の明確さ「勝利する」「生き延びる」「存続する」
第1話を観て「面白いな~」と思ったとき、私はついつい、最近のガンダム作品である『Gのレコンギスタ』と比較してしまいました。ガンダム Gのレコンギスタ 1(特装限定版) [Blu-ray]
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実は同作品(Gレコ)、断片的にしか視聴していません。
ただ、3話くらいまでは(再放送で)きちんと視聴して、「う~ん?」と思いました。
感想は「物語の山場が分からん」「何してるか分からん」「何がしたいのか分からん」「台詞のクセ強すぎ」という感じ。
連載マンガにせよ連続アニメにせよ連続ドラマにせよ、特定単位ごとに提供される物語は、単位ごとに起承転結を楽しめるのが理想です。
そして、鑑賞者がハラハラドキドキを楽しむには、まず「登場人物の目標」を理解する事が近道です。
「生き延びたい! だからあそこから脱出しないと!」とか、
「仇を殺す! あいつの命を奪うんだ」とか。
目標が分かると、達成できるかできないかのドキドキハラハラが生まれます。
別に、登場人物が「達成できない」ことを祈って楽しんだっていいんです。ヤッターマンのドロンボー達みたいにね。
登場人物の目標が分からないと、なにか行動を起こされても、「うん。で?」となってしまいます。
すいません、オルフェンズを誉めるのにかこつけたGレコの悪口はこの辺にしておきます。
オルフェンズは、その時々の達成目標がはっきりしています。
戦闘時は基本的に「生き延びること」「そのための勝利」が目標になっていますし、時々の敵の勢力も限定的なので、「こいつに勝てば生き延びられる」というのがはっきりしています。視聴者も、それを一緒に願うことができる。
戦闘の合間合間の行動も、「鉄華団として商業的に成功し、食い扶持を稼ぐ」と分かりやすいです。かつ、納得もしやすい。
ここらへんの単純化は、感情移入を容易にします。
話数1単位ごとに、きちんと「ピンチ」と「達成」を見せてくれるので、ストレスなく楽しめます。
1.2.キャラクターの格好良さ
人間キャラクターのデザインを担当したのは、漫画家の伊藤悠さんだそうですね。この人の絵柄、好きなんですよ。
『皇国の守護者』の、かわいさと格好良さ、残酷さが同居した絵柄がたまりません。
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もう一人のメインキャラ、オルガは正統派イケメン。
そしてどちらもマシンに乗る時は上半身裸です。
脱がないと操縦できないマシンとか、スタッフ考えやがったな! 次は女子でやってくれ! 不自然な湯気とかあってもいいから!
男でも「おお!」となる筋肉ですから、テレビの前の大きなお姉さま方は、さぞお喜びだと思います。
マシンもかっこいいですね。
どうしてもやられ役になってしまうモビルワーカー。あれのデザインもかっこいいと思いますよ。
しかし、作品を観ていて一番「おおお……!?」と思ったのは、そういう「正統派」な部分ではないところでした。
2.基本を外したキャラ造形の魅力
お嬢様近辺の描写の心地よさ
第1話。ヒロインであるお嬢様、クーデリア(お金持ち。政治活動家。以下、クーちゃん)は、自分の警護役である主人公・三日月オーガス(親もいない少年兵。ミカ)に対して握手を求め、拒否されます。
「私は、あなた方と対等であろうと……」
手が汚れてたんだよ、気遣いなんだよと述べるミカは、こう付け加えます。
「それって、俺らは対等じゃない(対等であろうとする「努力」「気遣い」の対象)ってことですよね」
ぐはっ!?
結構アニメのお約束を知ってるはずの人間として、この台詞が「不意打ち」に感じられてしまったのは、ちょっと悔しくもありました。
この台詞までは、フィクションを楽しみ続けてきた人間として、予見のしようもあったと思います。
本当にびっくりしたのは、第3話のクーちゃんの台詞でした。
ここまでクーちゃんは、自分の知らない「虐げられた世界」を目の当たりにし、無力感を募らせていきます。
存在は知っていて、自ら根絶を呼びかけていた「世界の悲劇」。
これを本当には知らなかったのだと、打ちのめされるわけです。
そして、政治的な理由からクーちゃんを拉致しようと、軍事勢力がミカたちを襲います。
そして、クーちゃんの引き渡しを求めるのです。
ミカたちを犠牲にはできないと、自分を引き渡せと申し出るクーちゃん。
その時の台詞が、ここ(第5話現在)までで、最高の台詞でした。
「私はただ死ぬつもりはありません。なんとか話を聞いてもらえるようがんばってみます」
私は、この台詞を聞いて、震えました。
弁舌型の平和主義者、しかも女性の定型キャラなら、「話せば分かるはずです」とお花畑に主張すべきところです。
そうでなければ、死の恐怖に、おびえまくるところです。
- 弁舌の効果への盲進もなく
- 死を覚悟しながら
- なお、自らの弁舌に命を懸ける
……だと……!?
クーちゃんと、クーちゃんのキャラ造形をしたスタッフについて行く、と決断せざるを得ない台詞回しに、ドキュウウウウン!でした。
ついでにミカ
3話でミカが「決闘」する相手のおじさん、結構いい人なんですよ。負けますけど。武人然として、「子供は殺したくない」と発言し、かなり好人物として描かれていました。
その人の最期は、介錯してくれるミカに対する
「あり、が、(パン、パン、とここでミカの銃声にかき消される)」
「ありがとう」すら言わせてもらえない!?
普通だったら、「あり、が、とう……」(いい感じの間)(響きわたる銃声)で充分なところです。
そこは、お約束のテンポを外してきている。
他のところで、視聴者が話の運びに信頼感を持てているから、このお約束外しが演出ミスなどではなく、「おじさんの格好を付けた台詞にうんざりした、ミカの人間らしさ」「フィクション臭くない、活き活きとしたキャラ描写」として映るのです。
基本を押さえているから、要所の基本外しが映える。
いいものを見せていただきました。
まとめ
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』とっても面白いです。クーちゃん、いい子でおっぱい大きいし!
……あれ……?
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