初挑戦『連載記事』
前回記事で宣言しました芝村裕吏作品感想を連載するというのを、今回から実行に移そうと思います。毎度このブログを見守ってくださっているid:MoneyReportさんからは、このようなコメントもいただきました。記事の連載予告は結構「自分で自分の首を絞める」事になる事が多いですよ(^_^;) / “【連載予告】ハヤカワセール 芝村作品三連打 - 今日も元気に問答御用” https://t.co/G8aE6R3uRf
— マネー報道 MoneyReport (@MoneyReport2014) 2015, 12月 5
しかし、こちらが予定しているのはたったの6回です。
それも、割と好き勝手な感想を書き散らすだけ。
できます。
たぶんできると思う。
できるんじゃないかな。
……ま、ちょっと覚悟はしておきましょう。
- 作者: 芝村裕吏
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/10/25
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『この空のまもり』あらすじ
時は、21世紀も半ばに差し掛かったあたり(多分)。
「強化現実」(現実の現代で言うところのAR)の技術が発展し、現実世界に無数の「タグ」が貼り付けられていた。
そんな世界で、日本は少子化と、政府の無能さから、すっかり国力を失っていた。
海外がいち早く「強化現実」と向き合う仕組みを整える中、日本政府は「そんな訳の分からないものは、現行法による対処で充分」などと重い腰を上げず、日本の強化現実世界は山のような、悪意と利己にまみれた「タグ」にあふれていたのだ。そんな政府に業を煮やした雄志の集まり「架空政府」は、日本の強化現実を清浄化する大作戦を決行する。
大成功に見えた作戦であったが、これをきっかけに日本の歪みが噴出してしまった。
架空防衛大臣を務めるニート、田中翼は、国を守るため、幼なじみを守るため奮闘する。
日本は、愛国は、どこにいくのか。
評価
う~ん、普通に面白かった、というのが素直な感想です。星五つ満点で、星三つ。
見所としては、
- 結構な説得力で語られる「日本衰退」した未来世界の描写
- 芝村裕吏氏一流の、おとぎ話的結末の盛り上げ方
- するすると読める語り口
といったところでしょうか。
一方で、群像劇(視点が5名くらいの語り手の間を、めまぐるしく行き来する)である故に、感情移入が盛り上がらないところとか、個人的にはきちんと拾って欲しかった登場人物のその後が無視されるところとか、気に入らないポイントも目立ちました。
あと、これ以外の二作品にも通じるところですが、なんでハヤカワの芝村小説は、主人公の異性関係周りがここまでイージーモードなの!?というところが、地味に気になりました。
人格者なのは分かるけど、モテモテっすよ、このニート。
そういうのが好きな人は、さらに楽しく読めると思います。
特におすすめしたい読者層
こんな方々にお勧めの小説です。- 自分はいわゆる「ネトウヨ」かもしれない、と悩んでいる方
- 自分は「感情ばかりで動く愚かなネトウヨとは違う!」と自信を持っている方
- このままじゃ日本は衰退しそうだよなぁ、どんな感じに衰退するか、フィクションでいいから思考実験してみたいな、という方
- おばあちゃん子の方
よろしければ、いかがですか?
(今井四郎)
- 作者: 田中ロミオ,戸部淑
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/11/18
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