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キャンピングカー生活を決意する前に理解しておきたい、『機会費用』の考え方

ある大学生の門出

ブログ『やぎろぐ』を運営する八木仁平さんが、このたび大学を卒業されたそうです。
お互い、面識は全くありませんが、まずは卒業おめでとうございます。
なんでも彼は、卒業を機にキャンピングカーでのフリーランス生活を始めるそうです。
内定をとっていた企業には辞退を申し出たようですね。

彼の決意に感じたこと

上記の記事だけ読んだ時にまず感じたことは、
フリーランスの……何になるの……?
ということでした。
この記事を書くに当たっても、どこかを読みのがしていたのだろうと上記の記事を読み返してしまったくらいです。

しかし、とくに記載はなかったようです。
おそらく、メインはブログということなのでしょう。

彼はブログを呼び水にして、すでに相当の収入を確保している人のようです。
だからこの『フリーランス』生活も、「うまくいくわけがない」とは言いません。

もしかしたら、結構うまくいっちゃうのかもしれません。
私には、独立してお金を稼ごうとしたノウハウも、彼の人間性に関する知識もありませんから、断定的に彼の未来を語るのは不誠実です。
ただ、あまりに順風満帆でうまく行かれると妬ましいので、ほどほどの収入までで落ち着いて欲しいとは、つい考えてしまいますね。

そして彼の決意表明を読んでいて、一つ違和感を持ったのです。

『よくよく考えてみるとリスクは0だ』は、ちょっとまずい

決断自体にとやかく言うのは良くないと考えた私も、「リスク0」はなんだかなぁ、と思いました。

卒業したの、商学部なんですよね?
あの……機会費用は……?
大学で習いましたよね……?

機会費用とは

詳細は、Wikipediaでも読んでください。

ここでは、イメージだけでもつかんでもらえたらと思います。

たとえば、1日2万円稼げるバイトがあったとします。
とっても楽で勤務も短く、割がいいバイトです。
大学生のイマイさんは、今日中に希望の電話を入れれば、春休みにそのバイトをする事ができます。

ですが、イマイさんの友達のスズキさんが、イマイさんにこう持ちかけました。

スズキ「春休みに、もっと割のいいバイトを紹介するよ。だから、他のバイトは入れないでおいて」
イマイ「本当に? 俺、いいバイトがあるから申し込みたいんだけど」
スズキ「だめだめ、俺の紹介するバイトの方が絶対いいから。信じろって」
イマイ「本当だろうな? 今日を逃したら、ずっときつくて日給6,000円のバイトくらいしか選べないんだからな?」
スズキ「大丈夫大丈夫!」

その日、イマイさんはバイトの申し込みの電話をしませんでした。
翌日。

スズキ「ごめ~ん! 昨日言ってたバイトの話、やっぱり無理だったわ。でもいいよね? 別に損した訳じゃないし!」

さて、イマイさんは本当に損をしていないでしょうか?
このやりとりで、イマイさんの手元から出て行った損失はありません。
しかし、希望するバイトをしていれば得られたはずの収入は、得られませんでした。
これが、機会費用の損失です。
他の(最良の)選択肢をとっていれば得られたはずの利益が得られなかった。
これは、損失なのです。

八木さんの場合、もしも『フリーランス』生活で得られる収入が「エンジニアをしていたら稼げた収入」より安ければ、『フリーランス』生活により機会費用の損失を被ったことになります。
こうなる可能性こそが「リスク」なのです。

もう一度言います。
定職を蹴ることのリスクが「ゼロ」なんてことはありえません。

ただし、念のため

八木さんは「機会費用」という考え方は知らなかったようですが、実は無意識に「機会費用の損失を避けるため」の決断をしている、という側面もあります。

でも、目の前にあって掴むことのできる憧れを指をくわえて3年待つという選択肢はぼくにはあまりにも辛かった。

「得られたはずの満足感」を逃がしてしまうという「機会損失」を恐れた彼は、「定職を捨てる」という方のリスクを取ったのです。

リスクを取るときには、相応の覚悟を固めるべきです。
八木さんのブログの語り口は軽いので悲壮な覚悟はしてないのだろうな、と思います。
実際の覚悟の確かさは、外野からはなんともいえません。

今回、こちらのリスクを取った結果がどうなるかは、まだ誰にも分かりません。
どうなって欲しいかと言うと……いや、この話はこのくらいにしておきましょう。
(今井士郎)