目次
はじめてのペンクリニック
愛用万年筆の不調
私、万年筆愛用者です。
パイロット製の3,000円の万年筆を手帳にくくりつけ、仕事時の手書きや私用の予定はもっぱら、それで書いています。
家にはもうちょっと高い万年筆を置いて、日記レベルの書き物に使っています。
万年筆。ボールペンより高いしランニングコストはかかるし、インクの入れ替えも面倒なのですが、ボールペンともシャープペンシルとも比べものにならない書き味が好きで、頑張って使っています。
pomeraをおもちゃにしているあたり、「文字を書くときの指先の感触」というのが、私にとっては娯楽の一つになっているのだと思います。
逆に、その程度の楽しみがないと、ぐーたらサラリーマンなんてやってらんねぇ……。
先週、不覚にも、愛用の安い方の、ヘビーユースしている方の万年筆を落としました。
綺麗にペン先から落ちてひやっとしたものの、カーペットに突き刺さって、大きな変形はないようでした。
しかし、インクの出が「なんとなく」悪くなって、ペン先が紙に引っかかるようになりました。
うーん、これは、歪んだのかなと。
仕事のストレスを軽減してくれている万年筆が壊れていては、お仕事の辛さも倍増です。なんとか解消しないといけません。
なので私は、解決手段を探すことにしました。
ペンクリニックはどこだ、いつだ
万年筆のメーカー等が主催する、ペンクリニックというイベントがあります。
不調な万年筆を持ち込むと、専門家が「なぜ、その万年筆が不調なのか」「どうすれば書き味が良くなるか」を分析して、直してくれるというイベントです。
万年筆売り場があるお店で、時折開催されているので、興味がある方は探してみてください。
会によって、有償だったり無償だったり、相談を受け付けてくれる万年筆のメーカーに制限があったりなかったりします。
私は元々、その種のイベントが存在することは知っていました。 ることは知っていました。
愛用の万年筆を購入した、神奈川の丸善でも催されていたことがあったからです。(看板が立ってた)
「この週末(3/10・11)でなんとかならないかな」と検索したら、東京の丸善日本橋店で開催されるという情報を発見。行ってみることにしました。
突入前の下調べ
実は、だいぶ前にペンクリニックに行こうとしたことがあります。
別の用事で近くを通る百貨店で開催されるという情報をキャッチし、昼過ぎに会場に着いた私は、「万年筆について相談できるんですか?」と、係の方に聞いてみたのです。*1
しかし、回答は、「すいません。もう、受付は終了しています」でした。 どうやら、ペンクリニックというイベントは、結構行列する、人気のイベントらしい。 なので土曜日に、翌日曜の突入に備えて、丸善さんに電話してみました。 今井「明日(日曜日)のペンクリニックでご相談したいんですけど、いつごろまでに行けば、確実に受け付けてもらえるのかなって」
店員「そうですね……。日曜はイベントも盛りだくさんですから、すぐに埋まってしまうと思うんですよね。早いお客様は、開店前から並ばれてます」
今井「(マジか……)開店時点に並んでいるお客さんで、枠が埋まってしまったりするんですか?」
店員「いえ、そこまででは。開店に並ばれたお客様は、確実に利用いただいています」
作戦は決まりました。
丸善書店の開店時刻に、並ぶ。
あ、ちなみに、ペンクリニックを利用したり、事前相談したりするときは、
- ペンのメーカー
- ペンの製品名
- 不調の症状
- 症状の理由の心当たり
あたりを準備しておくと、相談がスムーズです。
実際に行ってみた
という訳で、私は朝10時に、丸善書店日本橋店につけるように、自宅を出ました。予定通り、9時45分には店の前に着いたのですが……。
「開いてる……」
ドキドキしながら万年筆売り場を探し、地下に降りて、ペンクリニックの受付を発見しました。
今井「まだ、受け付けてますか!?」
店員「はい、15時過ぎの順番になります」
間に合った。
ホッと一息。
しかし、先は長いな。
待ち時間の豪遊
散歩や立ち読みで時間をつぶす体力のなかった私は、上階の丸善カフェで
ハヤシライスや
ミルクレープをいただいて
時間をつぶしました。
……いや、ペンクリニックって、無料のイベントじゃないですか。
いいなと思った本を買うのもKindleで済ませてしまうので、しかも、5時間もの長居をするので、少しはお金を落とさないと悪いかなと思いまして。ちょっと贅沢しました。
ランチタイムも奇跡的にすいていたので、直前まで追い出されることなく、時間をつぶせました。
鮮やかな解決
で、時間になったので、クリニックに行ってきました。
今井「かくかくしかじか」(ペンを渡す)
ペンドクター「どれどれ……?」(ペンを受け取って、紙の上を滑らせる)「いつごろ落としちゃったんですか?」
今井「この前です。先週」
ペンドクター「ふむ……」(ペン先をいじる)「どうですか?」(ペンを私に返す)
今井「えっ? もう?」
……。
直ってました。
その間、実に3分。
ペンドクター「インクの流れが悪くなってたので、調整しました」
今井「あー……(感心するやら拍子抜けするやら)」
(画像は帰宅後のものです)
今井「今回は落としちゃったんですけど、万年筆は高いのに普通に壊れるから、怖いですよね」
ペンドクター「そうですね。でも、こうして直せるケースもありますから」
今井「ありがとうございます」
ペンドクター「じゃあ、またなにかあったら、イベント等でご相談ください」
今井「アッハイ」
……凄いです。一瞬で直りました。
これには思わずにっこり、です。
世界の万年筆展
実は、今回のペンクリニックは、「世界の万年筆展」といイベントの一環で開催されていた物でした。
いくつか、写真をご紹介します。
ポルシェブース。
あの、自動車のポルシェの創業者の親族であるデザイナーがデザインした万年筆だそうです。ところどころに、車のモチーフが。
アウロラブース。
お世話になっているパイロット。
うちの2本は、両方ともパイロット社製です。
オーソドックスでありつつ、かわいい。
ブースに詰めていた営業さんにも、「お世話になっています」とお礼を言っておきました。
そうそう、私、インク充填用のアタッチメント「ハミングバード」を愛用しているのですが、
「コンバータとペン先の頻繁な付け外しは、想定してません」
「付け外しを続けていると、コンバータの穴が広がってしまうと思います」
「緩くなってしまったら、コンバータを買い直してください」
だそうです。
ハミングバード利用者は、自己責任で使いましょう。
セーラー万年筆の「キングプロフィット」。
重くて、ペンの重さだけですいすい書ける感じは、新感覚でした。気持ちよかった……。
「重いのに、楽」という。
こんな、コラボ万年筆も。
プラチナム。右側の「プレジデント」は、ペン先がかっこいい。
呉竹(くれたけ)。
周囲とは一線を画す、「筆ペン」。
私は右側の「正しい手つき」「筆ペン」といったヨレヨレの字しか書けませんでした。
筆ペンに慣れてると、かっこいいんですけどね。
目玉展示? 43万円の、パーカーの万年筆。
試し書きはさせてもらえませんでしたが、綺麗でした。
おわりに
もうね、何というか、「本屋にいる一日」「喫茶店で優雅につぶす一日」「万年筆で遊びまくる一日」を一度に過ごしてしまって、楽しかったです。
「第9回 世界の万年筆展」は、3/13(水)まで。お近くの方はどうぞ。
(今井士郎)
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