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完結巻電書発売記念! 『俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する』ご紹介

ちゃんと紹介していなかった、お気に入りラノベ

最近、ライトノベルはそんなに読めていません。
図書館で借りて読みまくっていた時期もあったのですが。
ヘビーなのもライトなのも、本自体をあまり読めていないので、小説を読むと「時間を有効活用したな!」と満足な気分になります。

どんなにライトな本だろうと、無目的にスマホに吸われる時間とは、比べものにならないくらい有意義ですからね。

んで、ブログ開設後に読み始めて、気に入って、いつか紹介記事を書くんだと思っているうちに、完結してしまった作品が出てきました。

『俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する』*1(全4巻)です。

紙に遅れて発売された完結巻を無事に読めましたので、ご紹介したいと思います。

本当は、電書版の発売当日に読み切っていたんですけどね。残業生活と体力回復で精一杯で、ブログ執筆の時間が取れませんでした。

あらすじ紹介

あらすじ
現代日本*2高等専門学校、大山(オオヤマ)高専のロボット研究会メンバー、およびロボット研究会を支援する身内を加えた12名は、翌週末のロボコペ(≒ロボコン)全国大会に向けて、ロボットの最終調整に励んでいた。

しかし、ガレージで朝を迎えたはずのメンバーたちは、周囲の景色に愕然とする。
それは、学内の人工的風景とは隔絶した、自然の中の世界だった。
しかも、認めたくないことに、天には太陽が3つある。

ここは異星か異世界か。大自然なんて大の苦手の高専生たちのサバイバルが始まる!

……と、通常の私のセンスだと、ここであらすじを切るんですけどね。
残念ながら、上記のあらすじ紹介だと、本作の特徴みどころが、全く紹介できていないんですよ……。

ということで、もう数行だけ、あらすじを追記します。

高専生たちが生き残るために最初に行ったのは、物理法則を、思いつく限り確認することだった。
運動の第一・第二・第三法則、落体の法則、落体の原理、パスカルの原理、摩擦の法則、てこの原理、ベルヌーイの定理など……。
地球と特に変わる部分はなく、多少は安心する一行であったが、ある日、森の中で、荷物を満載した荷車を発見する。
荷車で見つけた円柱状の道具のボタンを押してみたところ、

不思議な力で、小枝が吸い寄せられた。

現代日本においても、物理法則以外の感性とか常識とかをどこかに捨ててきた高専生たちは叫ぶ。
「ぃいよっしゃあああああ興奮してきたああああああああああ!! さいっこうじゃんこれええええええええ!! 宝の山じゃあああああああああああああんッ!!」

不思議な「魔法の道具」が存在する異世界高専生たちによる、魔法の「ハック」が開始された!!

作品のみどころ

各巻のみどころ

全4巻となった本作品ですが、各巻において、「一番フォーカスされるみどころ」は違います。 参考までに、私の感じた各巻のみどころを挙げてみます。

1巻:「異世界に行ったらまず物理法則を確認する」という行動の新鮮な正当性と、「科学技術で魔法を実現する」ハックの面白さ

2巻:科学技術によって実現された魔法の杖(音声認識、カートリッジ型エネルギー装填式)という厨二病ロマン

3巻:頼れるリーダーの「欠落した」人間性、その弱さと魅力。意外なヒロイン判明

4巻:異世界漂流について、まさかの「理論的」種明かし。引き続きリーダーの人間性。ラストバトル。そして後書き

厨二病的には、2巻の魔法の杖に興奮しましたが、3巻・4巻のリーダーの独白には「くうっ!」とか気持ち悪い声を出しながら大いに泣きました。

異世界で物理法則を確認」の何に、そんなに感心するのか

登場人物たちが、異世界で「まず真っ先に物理法則を確認する」理由については、主人公の幹人(ミキヒト)君がわかりやすく解説してくれています。

俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する (ファミ通文庫)

手前の茶髪が、高専生でオタクのくせに、驚異のコミュ力とモテ力を誇る主人公、幹人です。魔法でも科学でもいいから爆発しろ。

「ある程度高いところから落下することは自殺行為、それは俺たちの世界では常識だ、だけど、この世界では違うかもしれない」
「例えばもしかしたら、物の落ちるスピードは一定の速さや高さから全く変わらなくなるかもしれない。この世界は、高いところから飛び降りたって死んだりしないような法則で成り立っているかもしれない」
「建物を中の人間ごと転移させてくる、なんて事を起こしたかもしれない世界だ。そんなところの物理法則が俺たちの世界と丸々同じって保証はない」
「俺たちにとって当たり前のなんでもない事が、こっちでは非常に危険な行為かもしれない。それが怖いんだ」

ほー。なるほど。と思いましたね。
残念ながら、私は「異世界ものラノベ」に詳しい訳ではなく、彼が言うような「なんでもない事」が危ない作品には心当たりはないのですが、

どんなにお料理してもうまくいかない世界とか

脳内の謎問いかけに回答すると、現実のステータスに反映される世界とか

転生したらスライムだった件1 (GCノベルズ)

転生したらスライムだった件1 (GCノベルズ)

(修練が必要とはいえ)意図を持って声を出すと、不思議な現象が起こせる世界とか

(修練と特殊な経験が必要とはいえ)手を合わせると、物質の構成を変えてしまえる世界とか

生き物にボールや、隙間のあるものを投げつけると、生き物が吸い込まれていく世界とか

「なにげない行動が、とんでもない事態を巻き起こしかねない」異世界を舞台にした作品は、結構溢れています。

「物理法則」まで違う例は、さすがに思い至りませんでしたけどね。
そういうわけで、彼らが抱く「恐れ」は、非常に誠実な物だと感じ、感心したわけです。

工学的見地からの問題解決

主人公たち、「ギルド・オオヤマコウセン」は、直面した課題や問題に、高専生ならではの「知力をつくした、しかし強引な」方法で対決していきます。

  • 魔法の自由な行使に修行が必要なら、難しい部分は道具(魔法の杖)に任せてしまえばいい、とか。

  • 召還獣を召還できるメンバーがいないなら、別の手段で「魔法で操作できる魔法でできたイキモノ」を作ってしまえばいい、とか

  • 「空を飛ぶ魔法」は難しいので、「無数の足場を生成する魔法の道具」を作っちゃおう、とか

この姿勢はまさに「ハック」で、見ていて爽快でした。

「目的」が明確で、その目的に沿うなら「手段」はばっさり変えても良い、というのは、普通の会社生活・社会人生活を営む上でも、頭の片隅に入れておくべきだと感じました。

「欠落した人間」への救い

ギルド・オオヤマコウセンの理知的で頼れるリーダー、中久喜照治(ナカクキ テルジ)は、その実大変に「欠落した」人間であることが、3巻で明かされます。*3


(中央のメガネが照治です。)

「実の家族」というものに愛着をまったく持てない人間である、ということが。

照治の場合、「実の家族」はどうでも良くても、それ以上に、自分なんかより遙かに大事な人たちは存在することが判明するわけですが。

小説でもアニメでも、フィクション作品の登場人物は、往々にして強い「愛」を持っているものです。
自己陶酔もできずにそんなキャラクターたちを見ていると、異性相手にせよ家族相手にせよ、自分の持つ「愛」がそこまで強烈ではないことに負い目を感じたりするものです。*4

「当たり前の愛」は持っていないが魅力的なキャラクターとして照治を描写することは、「一般人程度の、劇的ではない愛」しか持てない読者にとって、救いになり得る、と感じました。

こんな人にオススメ

この作品をオススメする先として、思い当たるのはこんな人たちです。

  • 幼女戦記』の魔法を見ていて、「これはいったい、どんな原理で何が起きているんだ!?」とモヤモヤした人

  • 『数字で救う弱小国家』を読んで「理論型理系ラノベ、良いね!」と思った方々

作者の藍月要さんはツイッターもやっているので、フォローしてもいいかもしれません。*5

本当は、各巻で登場するオオヤマコウセンの魔法を解説する記事とか書きたいんですが、ふんだんに図解しないと意味不明になりそうなので尻込み中です。

作中の技術用語や「何が起きているか」、分からない読者さんもいるんじゃないかなと思ったので、ツイッター等で聞いていただければ、分かる範囲でお答えします。

でも、作者さんも気さくにツイッターで返信をくれるので、直接聞くのが早いかもしれませんね。 『異世界物理』。オススメです。
(今井士郎)

*1:長いなぁ。

*2:なんとなく「東京」かと思ってましたが、違いそうです。

*3:高専生だから」という方面ではなく、別の人間的な部分で。

*4:私だけ……じゃ、ないですよね?

*5:アイコンがヒロインの一角、みいちゃん先輩なので、プロファイルが揺らいでしまいますが。