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呪・5巻発売! 『呪術廻戦』の魅力

『呪術廻戦』5巻発売!

少年ジャンプで連載中の『呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)』(芥見 下々:あくたみ げげ)の第5巻が発売されましたね。

呪術廻戦 5 (ジャンプコミックス)

売り上げはすでに累計100万部を超えているようです。*1
少年ジャンプ本誌で1話・2話を見たときには「面白そうだなぁ。でも暗いし、多分短期打ち切りだろうな」と感じていました。当時の感想として多く見かけたのは、同様に「俺は好きだよ? でも売れないと思う」だったように思います。

しかし、実態は前述の通りのヒット。本誌を見ていても、3話の台詞回しでしびれて、「打ち切って欲しくないなぁ」「……実は売れるんじゃね?」と認識が変わって行きました。

そういうわけで、今回は『呪術廻戦』のみどころ紹介です。

「主観」尊重と台詞回しのうまさ

呪術廻戦は「バトル漫画」にカテゴライズされる作品ですが、最大のみどころは、キャラ描写の魅力だと感じています。

キャラクターがそれぞれの考えを持ち、自身の欲望に従って生きる様が、物語を面白くする方向でかっちり作用している。

人は欲望に従う、という私の主張は、下記の記事でまとめています。

「私情です」という言い切り

第一話のラストで、主人公である男子高校生、虎杖 悠仁(いたどり ゆうじ)は、暴れ回る「呪い」から友人たちと、呪いの退治に来た呪術師を救うため、強力な「呪物(じゅぶつ)」である鬼の指を飲み込むことで、「呪力(じゅりょく)」を身に付けます。

鬼の力で「呪い」を退治したは良いものの、今度は悠仁が「強大な鬼の取り憑いた状態」になってしまいました。ヤバいです。
悠仁に助けられた高校生呪術師、伏黒 恵(ふしぐろ めぐみ)も、「規則によれば」悠仁は退治されるべきであると宣言するのですが、悠仁が強力な呪術師に取り押さえられ、安全が確保されると、悠仁の助命を乞うのでした。

規則によれば悠仁は排除されるべきである。しかし、彼は自分たちを助けてくれた。だから、

死なせたくありませんと。

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芥見下々『呪術廻戦』1巻より

それに続くやりとりが素晴らしい。

「……私情?」「私情です。なんとかしてください」

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芥見下々『呪術廻戦』1巻より

入校の理由

強力な呪術師である五条先生は悠仁に対し、五条先生や伏黒が所属する呪術専門学校「呪術高専」への編入を打診します。
呪いの退治に一役買えるならと合意する悠仁でしたが、そこに待っていたのは呪術高専学長による口頭試問でした。

「呪いを学ぶその先に何を求める?」「なぜ、呪いに立ち向かおうと思う?」と。

最初は「『人を助けろ』という爺ちゃんの遺言」を理由に持ち出した悠仁でしたが、「自分が呪いに殺されたときも、『祖父のせい』にするのか」と問いただされて言葉に詰まります。

結局、悠仁が「合格」を勝ち取った台詞は「生き様で後悔はしたくない」でした。決めゼリフとしては上記なのですが、そこに至るまでの何気ないセリフが素晴らしい。
悠仁のキャラ設定と、抱いている欲望と、物語としての格好良さがベストマッチしていて、一見の価値ありです。

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芥見下々『呪術廻戦』1巻より

このシーンを見てから、「俺は好きだけど打ち切られそう」という思いが「……このマンガ、本格的に面白いぞ!?」に変わりましたね。

「正義を騙らない」という魅力

前述の2シーンは、安直に行けば「普遍的な正義」を語りたくなってしまうところです。「ここで悠仁を殺すのは正義ではない」「俺は呪術師になって呪いを祓うのが正義だ」と。

しかし、「普遍的な正義」を名乗る行動指針は危うい。一歩間違えれば独善になってしまいます。「正義を語る」は「正義を騙る」と紙一重です。
しかし、彼らは「自分の想い」として、あるべき行動・取るべき行動を選択します。「やりたい」から「やる」。これをうまく描写されたら、納得感が違います。「想い」と「判断」の直結を「魅力的に」見せてくれるのは、作者の力量でしょう。

後から登場する女子高生呪術師、釘崎 野薔薇(くぎさき のばら)も、他に登場する一般人も呪術師も呪いも、「自分の欲望」を指針として行動していて、「作劇の都合で動かされている」ことを感じさせません。
これが、見ていて納得であり、安心であり、魅力であるのです。

他のキャラ描写も凄いぞ

3巻に登場する「吉崎ママ」のセリフが好きです。
悠仁の「ネギ似合わないっすね!!」というセリフに「お 分かる? ネギ似合わない女目指してんの」という返し。

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芥見下々『呪術廻戦』3巻より

軽口のお手本かよ

誰かをバカにするわけでもなく、不真面目な言葉を交わし合ってその場をほぐす。雑談が苦手な筆者としては、ものすごくうらやましい流れでした。

あとは、一級術師のナナミンは、筆者より歳下なのに大人で格好いいですし、バイトをばっくれる真面目な店員とか、ナナミンの回想に登場するパン屋店員といった一回きり登場の「モブ」も、しっかり印象に残るキャラ描写をされています。

一回きりキャラの中でも、呪いである「漏瑚(じょうご)」が吸っている「なぞのパイプ」が好きです。吸われると弱々しく「いやぁぁぁ」ってうめくんですよ。グロ可愛い。

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芥見下々『呪術廻戦』4巻より

最新第5巻では、キャラ立ちの化け物にして最強の高校生呪術師、東堂が本格的に登場します。今後も新たなキャラ描写に期待です。
イマジナリー高田ちゃんの登場は、6巻までお預けかー。

呪術廻戦、オススメです。
(今井士郎)

呪術廻戦 5 (ジャンプコミックス)

呪術廻戦 5 (ジャンプコミックス)

*1:まとめサイトしか見つからなかったので、ソースは省略。