本日の佐野氏問題解説
今日はこの記事が話題になってましたね。先日私が書いたこの記事を、きちんとした専門知識に基づいて書いた感じの記事です。論旨としては「佐野氏によるエンブレムのデザインは『盗用』でない可能性が十二分にあり得る」ということを、丁寧に解説したもの。デザインに至った経緯が、ベルギーの美術館のロゴとは異なると充分に考えられる、「似てる」と「パクリ」は違うのだ、という感じ。
今回の問題をきちんと知るには、この記事だけを読んで満足してはいけません。
きちんと、コメント欄を見ましょう。
全部とは言わないから。
記事の最初には、「トートバックや写真の盗用問題等、『オリンピックエンブレムの類似性』の話題以外の『盗用問題』は考えない」「ロゴの善し悪しは考えない」「作者の人格は考えない」と言うことが、でかでかと書いてあります。
本文より大きい字で。
では、記事に表示されているコメントの要旨を、上からいくつか見ていきましょう。
- 「これ(オリンピックエンブレム)以外に、盗用としか言えない作品がある」
うん。「その話はしない」って著者が書いてる事だね。
- 「会見では『元のデザインにはないコンセプト(デザイン経緯)』を謳っていたし、それは大嘘じゃないか」
これは、まともな反論ということでいいのかな?
- 「ロゴを見る人は大半が素人なのだから、記事で説明されたような説得力で説明できなかった佐野氏の負け」
記事への「反論」ではありませんが、少なくとも記事の主旨とはずれてますね。
(記事内容を褒めているコメントと、うまく要約できない中立?な記事を、一件ずつ省略)
- 「類似したものがあった時点で、『オリジナル』とは呼べない。記事を書いた奴も、小物だな」
唯一無二原理主義者。
- 「デザインに魅力が足りない」
記事の前提を百回読み直せ。
- 「エンブレムのパクリ疑惑は、当初深刻ではなかった。あとあと発覚した盗用問題こそが問題であった」
これは、「問題設定が誤っている」という、反論として成立した内容ですね。
- 「文字を元にデザインすると『一見似たデザイン』が避けにくいのであれば、文字を元にしたデザインをさせるべきだったのでは?」
あれ~? 建設的な議論として成立するコメントだなぁ?
頭から9件拾ってきて、「だめだ、議論成立してない」と言いたくなるコメントは4件だけ。
最初に記事を読んだときは、「デザインがダサい」「トートバックは」……と、記事の主旨とはずれた反論が、もっと山ほどあったと思ったんですがねぇ。
ともあれ、私の言いたいこと
問題は、きちんと切り分けて考えましょう。以上。極端な話。
泥棒がいたとして。殺人犯がいたとして。
有罪が確定した罪状があったとして。
「有罪食らってる奴だし、この事件もこいつのせいにしとこうぜ」と罰されてはいけないのです。
「有罪食らってる奴だし、信号無視で死刑にしようぜ」と罰されてもいけないのです。
問題はどこなのか。
論点はどこなのか。
きちんと切り分けて考えましょうよ。
(今井四郎)
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