記事の内容を短く言うと
- 借金玉氏が、運営に携わったイベントを侮辱した石川氏を「クズ」と罵った。
- ろくでなし子氏が、「『思い通りにならないからと』他人をクズ呼ばわりしてはいけない」と借金玉氏を窘めた。
- 借金玉氏がろくでなし子氏に激怒した。
- そりゃ、借金玉氏も怒るって。(という今井の意見)
目次
借金玉氏が、キレてました
作家・コラムニスト・文闘家の借金玉氏が、漫画家・美術家のろくでなし子氏にキレてました。
石川さんの、討論会後のちゃぶ台返しは確かに卑怯ですが、自分達の思い通りにならない人を「クズ」と呼んでは、ツイフェミの人達のやっている事と同じになりはしませんか。。。相手の人格ではなく、行為について批判しませんか。
— ろくでなし子 祝デコまん無罪確定! (@6d745) 2019年11月18日
ろくでさんさぁ、他人の怒りに土足で踏み込んで、他人の怒りをクソほど矮小化した挙句に説教カマすの、流石に他人を舐め過ぎだし増長し過ぎだからもうやらない方がいいよ。
— 借金玉 (@syakkin_dama) 2019年11月18日
この怒りはもっともだと、直感的には思ったのですが、なぜそう感じるのか、構造を把握するのに20秒ほどかかりました。
同じような疑問を感じた方向けに、記事にしようと思います。
要するに、ろくでなし子氏の発言は「借金玉氏が受けた被害を矮小化する」ものだったんですね。
キレるまでの経緯
ここに至るまでの経緯を、私がネット(主にTwitter)で観測した情報でまとめると、こんな感じです。
- 「KuToo」運動で知られるフェミニスト運動家の石川優実氏が、「フェミニストは反対者からネットで、匿名の罵声を浴びるばかり。フェアな対話ができる場がない」と発言。
- ネット論客の青識亜論氏が、「ならば、フェアな討論会を開催しよう」と提案。石川氏は受諾。
- 事前に相互にルールや仕組みを協議の上、2019/11/16(土)に討論会『これからのフェミニズムを考える』開催。
- 行き違い、平行線の要素は多数あったものの、登壇者(石川氏、青識氏)双方が「対話の場を実現できたことに意義はあった」と発言して会は閉会。
- 会の翌々日である11/18(月)の晩に、石川氏が「会は、石川氏に対する一方的なハラスメントであった」とブログで表明し、閉会時から態度を大きく翻す。青識氏との対話チャネルであったTwitterもブロック。
- 会の運営を主導していた借金玉氏が、石川氏の変転を「クズ」と評価するツイート。
- ツイートを見とがめたろくでなし子氏が「『相手が思い通りにならないから』と『クズ』などと貶めることは、差別主義者と同様であるから慎むべきである」と苦言を呈す。
- 借金玉氏、激怒。
なぜ、キレたのか
一見すると、「おかしくない」指摘
さて、借金玉氏は、なぜこの指摘にキレたのでしょうか。
ろくでなし子氏の指摘は、下記の通りです。
- 石川氏は、借金玉氏にとって「思い通りにならない」発言をした。
- 借金玉氏は、石川氏の「思い通りにならない」発言を以て、石川氏を「クズ」と評価した。
- 「クズ」というのは人格否定であり、どのような場合でも使うべき言葉ではない。
- 筋の通らない感情論だけで相手を侮辱するのは、借金玉氏の軽蔑するツイフェミと同じ、醜い行動である。
この指摘が面白いのは、事実としては正しいことしか言っていない点です。
- 借金玉氏が尽力した会を石川氏が侮辱したことは、借金玉氏にとって「思い通りにならない発言」ではありました。
- この「思い通りにならない発言」を以て、借金玉氏は石川氏を感情的に「クズ」と評価しました。
- 「ツイフェミ」という蔑称で呼ばれる人たちには、往々にして理屈が通用しません。
間違ってません。
でも私は、借金玉氏が怒るのは当たり前だと感じました。
なぜなのか。
モデルにしたら、よく分かります。
言動の価値評価モデル
しばらくぶりに、四象限のモデルを考えてみましょう。
ある人物から見た、他者の言動の評価軸として、2つの軸を設定できます。
- 思い通りか、思い通りでない(意に沿わない)か。
- 良い(筋が通っている)か、悪い(筋が通っていない)か。
手書きで恐縮ですが、こういうことですね。
では、ろくでなし子氏が借金玉氏を評した「思い通りにならないから、他人をクズ呼ばわりする」というのは、どういうことか。
図の左側、黒く斜線をひいた範囲の言動を、「クズ呼ばわり」するということです。
借金玉氏は、石川氏の言動が「この範囲」だったから「クズ呼ばわり」したのでしょうか。
これは、ちょっと正確性に欠ける表現です。
借金玉氏が石川氏を「クズ呼ばわり」したのは、石川氏の発言に「筋が通っていなかった」「侮蔑的だった」からです。
図にすると、赤い部分になります。
イベントの席では納得したような発言をしておきながら、後出しで主催・運営・聴衆を侮蔑する発言を以て、借金玉氏は「クズ呼ばわり」に至りました。
「思い通りでない発言(の一種)に対して怒」ってはいますが、「思い通りでない発言であれば怒」る訳ではないのです。
「悪質な加害」に怒っているとき、「『思い通りにならない』『気に入らない』からって怒るなよ」と言われたら、そりゃ、腹も立ちますって。
例えば、
- ぼっこぼこに殴られたことを怒っているときに
- 面と向かって侮辱され、ぶち切れているときに
- 性犯罪被害に遭ったことを憤っているときに
「『気に入らないこと』があったからって怒るなよ」と言うのは、良くて無神経、普通は侮辱です。
いや、たしかに「気に入らないこと」ではあるけど、その丸め方は違うだろう、と。
人が他人を「クズ呼ばわり」するのを窘めながら、当人が受けている被害を矮小化するような表現は、怒られて当然です。
その後
「どんな相手であっても、クズ呼ばわりすべきではない」と発言していたろくでなし子氏の過去ツイートから、他者をクズ呼ばわりするものが複数発見され、借金玉氏は溜飲を下げてました。
「どんな卑怯な人であってもクズと言ってはいけない」と主張する人の過去ツイート彫ったらほんのちょっと下に「クズ過ぎる」と具体的個人に向かって言い放ってたの、本当にいい笑顔になりました。ありがとうろくでなし子。
— 借金玉 (@syakkin_dama) November 19, 2019
即オチ2コマの方が味が出るかな。 pic.twitter.com/jdhfpN3Ry5
— 借金玉 (@syakkin_dama) 2019年11月19日
「一貫性のある言動」って、難しいもんですね。
(今井士郎)
- 作者: 借金玉
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