『SPY×FAMILY CODE:White』見てきてました
年末年始映画『SPY×FAMILY CODE:White』、年始の連休中に見てきました。
そちらの感想記事です。ネタバレを含む記事となっていますので、避けたい方は回れ右でお願いします。
総評
個人的には、イマイチでした。 「キャラがカワイイ/カッコいい」というのを見せに行く作品で、『SPY×FAMILY』のシリアス部分を割と楽しみにしている読者としては、ボケ! キュート! 有能! 非現実活劇! を詰め合わせた本作は、あまりはまらなかったなぁ、という感じです。
アーニャがかわいくはしゃいでいるのを見ていれば幸せ、という方には、結構アリな作品だと思います。
私にとって「動いてるのを見てられれば幸せ」な作中キャラはヨルさんだけなので、「アーニャかわいい!」が大半を占める展開は、やや退屈でした。
ヨルさんは相変わらず美しかったです。
ストーリーラインを盛り上げるには、ちょっと頭が致命的に悪すぎるかなという感じはありましたが。そちらもいつものことなので、仕方ない。
マズくね? と感じる描写
突っ込みたくなる描写は多数ありました。 ロイドのラストバトルは、変装後込みで結構好きなんですけどね。
- アーニャが全国手配されたら、本筋である「オペレーション・梟」に悪影響が甚大では?
- 「黄昏」が軍人相手に、敵として素顔さらしまくっちゃってる! 作品の対象年齢的に、見た相手を殺せない! ヤバい!
- SF水準のサイボーグ出しちゃった! 世界観壊れちゃう!
- 対サイボーグバトル、互いに漫然と攻撃してるばかりでつまんないな……
- 「半分は油」な程度の物質が、火炎攻撃の燃料になってたまるかい
しかし個人的に一番気に入らなかったシーンは、上記よりずっとささやかな、前半のシーンでした。
一番気に入らなかった「砂糖の種類当て」
本作のボスキャラであるスナイデル大佐は、敵役としてのヘイト以外の部分で、とことん気に入らなかったですね。
- 出す命令は全て「しかし!」と反論され、「いいからやれ!」と強弁するばかり。バカのパワハラ連発を見せつけられる気分になるし、統制が取れていない描写なので敵組織の「格」が下がり続ける
- 美食家を自称しているようですが、他人がサーブされた料理を横取りするのって、普通に「意地汚くて下品」でしょう……
権力と腕力しか、見るべきところのない悪役でした。
中でも「砂糖の種類当て」は最低だなと思いました。
スナイデルはロイドに、一つしかないケーキを食べる権利を賭けたゲームを持ちかけました。
実食した別のお菓子の「使われている砂糖の種類」を「できるだけ詳しく」当てるというものです。
尊大な態度で自分の得意分野での勝負を強制する時点で、あまりにみみっちい。
ロイドは、「上白糖」「グラニュー糖」などと見事に砂糖の種類を的中させましたが、スナイデルは「使われているグラム数」も的中させ、自分の方が詳しく当てたと勝利扱いになりました。
いや、待てや。
グラム数は、『種類』じゃないだろ。
種別に加えて産地も当てた、であれば、分かります。
「コシヒカリ」より、「魚沼産コシヒカリ」「岩船産コシヒカリ」と的中させた方が、種類を詳細に当てたと言えるでしょう。
しかし、「100グラムのコシヒカリ」と「200グラムのコシヒカリ」、「100グラムの上白糖」と「200グラムの上白糖」では、「種類」は変わらないんですよ。
「種類」と「量」は別の概念です。
スナイデルのやっていることは、
幅跳びで競っていたはずなのに「跳んだ距離は同じだが、自分の方が高く跳んだので自分の勝ち」と言ってみたり、
テストの点数で競っていたはずなのに「点数は同じだが、自分の方が先生に好かれているので自分の勝ち」とでも言い出すような無茶苦茶で、これを言い出すスナイデルも、この愚かな理屈を「ぐぬぬ」と受け入れるロイドも株を落とす、誰も幸せにならない展開でした。
前半でこのようなやりとりを見せられてしまったせいで、以後、スナイデルがどのように振る舞っても「こいつ、バカだからな」と悲しく虚しく眺める気持ちが収まりませんでした。楽しくない。
このシーケンスがなければ、他のツッコミどころも、もっとおおらかにスルーできていた気がします……。
アホの出題する「いじわるクイズ」、ちびっ子に流行らないといいな
子供の世界にも、大人の世界にも、誤った知識や論理展開を前提に、歪んだ「正解」を回答者に押しつける問いは溢れています。
ちびっ子にも大人気な『SPY×FAMILY』が、そんな不幸の増産に貢献しないことを祈っています。
(今井士郎)