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【ネタバレなし】映画『ゴールデンカムイ』大成功の実写化で、世界がリアルに近付いた

映画『ゴールデンカムイ』を観てきました

やけに評判のいい作品、実写版映画『ゴールデンカムイ』を観てきました。

Golden Kamuy

20世紀序盤、日露戦争からの復員兵である杉元佐一と、アイヌ人少女アシリパ*1を中心とした、「北海道のどこかに隠された金塊」の争奪戦が描かれる作品です。

原作マンガは全31巻で完結済み。今作はその冒頭部分を、2時間の映画にまとめたものです。

結論から言うと、前評判通りとても良かったですね!!

私は原作を「一通り読んだ」程度の読者であり、並み居る熱狂的ファンの皆様に熱意では敵わないとは思うのですが、それにしても良かった。

原作のイメージを崩すでもなく、単なる原作への追随としての実写化でもなく、「実写化されたことの価値」をグイグイ感じる映画だったと思います。

近くて遠い、『ゴールデンカムイ』の世界

冷静に考えると、本作の舞台になっている世界は、私たち*2の住んでいる世界に、ほどよく近くて遠い世界です。

  • 現実世界と似た歴史を辿っている日本であって、「異世界」ではありません。身近な舞台です。
  • 日本の中では「一番遠い」場所の一つである北海道です。距離のある舞台です。
  • 私たちの時代から、100年以上昔が舞台です。距離のある舞台です。
  • 私の生まれた20世紀が舞台です。意外と近い舞台です。
  • 殺し合いとの距離が近い世界です。幸い平和な私たちの社会とは違う舞台です。
  • 根は穏やかだったりもする人たちが、おいしいものに舌鼓を打つ世界です。同じような感性の人間たちの住む舞台です。

そんな、近いような遠いような世界。
これまで展開された「マンガ」「アニメ」という媒体では、私たちの世界に対して「絵である」という距離が残っていました。
今回の実写化で、世界が大幅にリアリティを増して、私たちの世界に近付いてきた感じがします。

描かれた絵とは違う、圧倒的な情報量。
北海道の雪景色を見ているだけでも、ほっ、と美しさにため息をついてしまう瞬間があります。
大スクリーンで、一見の価値ありです。

戦争という「現実」で「虚構」の世界

杉元や、多くの軍人キャラクターは日露戦争の激戦の生き残りであり、戦争中の風景が多く描写されます。
このリアリティも素晴らしかった。

泥臭く、みんな薄汚れている感じは戦争の嫌さに溢れていました。
主人公は強いけれども、スーパーヒーローでは決してない程度に抑えられている。
リアルの戦争の悲惨さを描写されてはエンタメとして楽しめないでしょうが、ほどほどの欠損や流血の描写は確保されている。
娯楽とリアルをほどよいバランスで融合して描写しており、言ってはなんですが「悲しい思いを楽しくできる戦争シーン」でした。

キャラクターの実写への落とし込み、違和感のなさがすごい

私は本作を何度も読み込んだファンではありませんから、細かいところの台詞の増減には気付けません。しかし、ネットの評判を見ると「すごい違和感のなさで台詞やシーンの増減がなされている」というのが定評のようです。

少なくとも私の目から見て、各キャラの納得感は凄かったです。

リアルにはまずいないようなアクの強いキャラばかりなのに、味を薄めるでもなく、実写の世界で「浮く」こともなく、見事に料理されている。*3

日本の実写化が安っぽく見える要因として、顔や衣装の「汚れ」描写の不足がよく指摘されますが、本作では良い汚れ感、くたびれ感でした。
説得力ぅ……。

さいごに

本作は、原作であるマンガ・アニメがお好きなら、まず観ておいて損はないと思います。
観に行くのをためらっているファンの方は、是非。
(今井士郎)

*1:リは小文字が正しいようなのですが、省略します。

*2:私は関東在住。

*3:土方歳三の声が中田譲治でないところだけは違和感を感じて、我ながら困りました。館ひろしカッコいいじゃろがい!