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今日も元気に問答御用

アラサーサラリーマンが「考え方を考えてみる」「考えたことを書き残す」ブログ。ツイッターアカウント @shiroimai

女子中学生と神様を愛でる。超常系日常マンガ『かみあり』が安い!

Kindleストアでまとめ買いセール中の、超オススメ商品

amazonが提供する電子書籍プラットフォーム『Kindle』では、いつもなにかしらの本が安売りセール対象となっています。
現在*1、非常にオススメのマンガ作品が安売り対象になっています。いつまでセール対象なのか分かりませんので、大急ぎで紹介させていただきます。

ご紹介するのは染屋カイコ『かみあり』(REXコミックス)です。

『かみあり』って、どんなマンガ?

最重要キーワード「神在月」から

『かみあり』は、「神在月(かみありづき)」を描いたマンガです。

旧暦の10月を一般的に「神無月(かんなづき)」と言います。
なぜ「神」が「無い」月かというと、全国各地におわす八百万の神々が、出雲(島根県)で行われる「神々の会議」に参集するからです。*2
そのため、「神無月」の時期でも「神様がいる」とされる地域では、同じ月を「神在月」と呼ぶのです。

長野県の諏訪大社近辺も「神無月に神が留守にしない」土地であるとして、「神在月」を採用しているとのことですが、「神在月」の代表選手と言ったら、なんといっても神々の「集まる」地、出雲(島根県)でしょう。

『かみあり』は、そんな「集まった神々」と地元の女子中学生が繰り広げる、超常系日常コメディです。

JCはこうして、『神々』と出会う

この作品は、「大阪から島根に転校してきたばかりの女子中学生、千林幸子(サチ)*3が、なんかよくわからない幻覚(?)を見上げるシーン」で幕を開けます。
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(『かみあり』第一巻より)

そして、サチの同級生であり当作品のツッコミ・メガネ・不幸担当の女の子、岡屋絵美(おかやえみ・エミちゃん)に「神在月」のなんたるかを聞かされるのです。
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(『かみあり』第一巻より)

なお、このお話の世界において、神在月の神々は普通の人にも、普通に見えます。町中を闊歩してます。それなら地元以外のメディアで取り上げられたりするだろうとか、そういう無粋なことを言っちゃいけません。
この世界の神在世界の情景は、「地元人には当たり前だが、地元人以外には知られていない」風景なのです。

『かみあり』お話の概要

それぞれのお話の基本は、こんな感じで構成されています。

  • サチが神様と出会う
  • エミちゃんが巻き込まれる
  • 神様の来歴(神話上の扱い、御利益等)が語られる
  • 神様によるトラブルが起きる
  • トラブルを解決する
  • 時には、神様にちょっと助けてもらう

超常系日常マンガですから、トラブルと言うほどのトラブルが起きない話もありますけどね。

『かみあり』における、設定の魅力

日常系作品は星の数ほどあるのでしょうが、私は日頃から日常系作品を愛好している訳ではありません。
『ばくおん!!』アニメは見ているが、『けいおん!!』は見たことが無いレベル。

そんな私は、『かみあり』の設定が、非常に気に入っています。

日本人の「ごった煮」宗教観

平均的な日本人に「あなたの宗教はなんですか?」と聞いたら、口ごもる人が多いと思います。
「分からない」とか、「無宗教」とか言ってしまう人もいるでしょう。

  • 初詣は神社へ
  • でも、寺にも初詣に行くよ
  • 合格祈願は神社の方が多いかな
  • ディズニーランドでは、イースターイベント(キリスト教由来)も楽しむよ
  • 最近はハロウィン(古代ケルト人文化由来)も定着したよ
  • 結婚式は、いろんな宗教の形式から選択するよ
  • クリスマス(キリスト教由来)は目一杯騒ぐよ
  • お墓は仏教式が多いかな

上記のような方は、お墓基準で「仏教徒」を自称するのが無難なようですよ。
「およそ、宗教と呼ばれる要素はなにも信じないし、祈らない」くらいでないと、「無宗教」とは名乗らない方がいいそうです。

「ごった煮」宗教の正体

この「ごった煮」を理解する中で、『日本人なら知っておきたい神道』という本が役に立ちました。
日本人なら知っておきたい神道

日本人なら知っておきたい神道

  • 日本には、八百万、ありがたそうなものをどんどん神様としてお祀りする「神道」的な土壌があった
  • 仏教も、キリスト教も、日本人にとっては「八百万の神々の新顔」として迎え入れられた

という考え方が、非常に納得できたのです。

それ以来、私は自分の宗教観を神道信者・仏教要素強め」くらいに捉えています。

「ごった煮」文化をさらに煮詰めた、『かみあり』の設定

『かみあり』の世界では、「神様」たちが出雲の地に集まります。
では、この「神様」とは、何でしょうか。

この作品における「神様」とは、「日本人から『崇拝』されている客体、人格とみなされて思いを寄せられている客体、すべて」です。
神社で祀られているような神様たちが、もっとも主要な登場神様です。
しかし、それ以外の「神様」もたくさんいます。

なにせ日本には宗教由来のゲームやマンガ、アニメキャラが掃いて捨てるほどいるからな!!
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エミちゃんによる、わかりやすい解説。
(『かみあり』第一巻より)

ゲームやマンガ由来の人格も、「想い」を集めれば「神」として顕現する。
これは乱暴なように見えて、かなり誠実な「神」の定義です。
「想いを集めれば『神』とみなす」という定義を採用しない場合、「古事記に登場するのが『神』」「聖書に登場する天使も『神』でいいよ」「あとは作者のさじ加減」などという、結局はご都合主義な設定を採用せざるを得ません。

『かみあり』の出雲では、『想い』さえ集めていれば

  • みんな知ってる四聖獣(白虎・玄武・青龍・朱雀)も
  • ドリフターズ』でも大活躍中、安倍晴明
  • ケルト神話がネタもとのゲームキャラも
  • ゆりゆり天使ガブリエルちゃんも
  • 17世紀魔術書に登場する悪魔も
  • 2010年6月に大気圏で燃え尽き、全世界の人気者となった『彼』も

みんな、みんな、等しく「神」として現れることができるのです。
つまり、私の信じる「ごった煮宗教としての神道」そのままなのです。

教養にもなる、可愛らしい神々

神々の容姿や性格は、いろんな要素を勘案してデザインされています。

  • 元の伝承
  • 伝統的な容姿のイメージ
  • 御利益のイメージ
  • 創作(小説・マンガ・アニメ)を経た「現代における」イメージ
  • 作者都合による、漫画的おもしろさ

この料理の仕方が、見ていて楽しい。
「おじいちゃんが藤原鎌足」という経歴をもつ神様のキャラ付けが「おじいちゃんが総理大臣」な某ミュージシャンに寄せてあるのには、笑いました。

『かみあり』は私にとって「へー、こういう神様がいるんだー」という、出会いの場になっています。

神様が闊歩しているくせに、ほのぼのとした日常
このアンバランスさにはまります。
ちょっぴりの教養知識とともに癒されたい方に、オススメのマンガです。
お試しあれ。
(今井士郎)

物理書籍を全巻持っているのに、電子書籍も全巻買っちゃいました……。

*1:2016年6月19日

*2:Wikipediaによると、「神無月」の語原はこの伝承ではない、ということらしいですが、本記事において各種の異論、異説は割愛します。興味のある方は、「本当のところ」を是非調べてみてください。

*3:せんばやしさちこです。小林幸子じゃありません。一・十・百・千・千林。