固定したネタで6回分書くという企画も、今回で最終回。
それでは昨日に引き続き書き散らしてみましょう。
芝村裕吏著『宇宙人相場』ネタバレ解禁版感想記事。
- 作者: 芝村裕吏
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/12/29
- メディア: Kindle版
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前回のおさらい
『宇宙人相場』とは!……私の書いたあらすじは、こちらを読んでください。
美女がなんやかんや……というよりは「なぜか」主人公に惚れて、美女のお父さんはトレーダーでした、というお話です。
星二つ。
取引のリアル・アンリアル
私とて個人投資家の端くれです。私から見れば、株取引の考証が合っているか間違っているかなんて簡単に……
……
ごめんなさい。
全然わかりません。
「1円の上げ下げでとにかく株を回しまくる」
「持ってても5分で売る
「反射神経の勝負」
という株取引はやったことがありません。
株はスマホでポチポチですからねぇ。
山ほど取引するわけでもないので、取引ごとに手数料も取られます。
そうすると、ポジションを手じまうのに、考えなくてはいけない材料が一つ増えるんですよね。
「上がったはいいが、もう1円上がってくれないと、手数料分損だ」とか。
その点、信念君の整えた環境は、ちょっと羨ましいですね。
取引ごとには手数料が取られないから、純粋な「上がった」「下がった」で戦績を見ることができる、と。
ちまちま(実際は膨大な金額を元手にしているから、利幅損幅は大きい)した上げ下げでも儲けが出ます。
私には「そういう人もいるんですね~」という、なんともしまらない感想しか述べることができませんでした。
当然、実際にやってみたら、儲かる可能性より大けがをする可能性の方が数十倍高いです。
マネをする際は、自己責任でどうぞ。
落下系の極み乙女
確か、「それらしい理由なんてないけど、突如現れて主人公のことを好きになる」ヒロインを表す言葉に、「落下系」というのがあった気がします。本作品は、その極みです。
もう、ツッコむのも飽きました。
芝村作品のヒロインは、そういう風にできていると諦めるしかないのかもしれません。
宇宙人の影の薄さ
タイトルと途中までの流れを見て、ワクワクしていたポイントがあります。結局、宇宙人はいつ、物語に本格介入してくるの?ということです。
……いや、介入は、してきましたね。うん。
なんというか、株式相場に。
結局、あの作品の『宇宙人』とは、何者だったのでしょうか?
そもそも、あの『世界』は、いわゆる『現実世界』のレイヤとして描かれているのでしょうか?
信念君と接触した結果、金融市場への「友好的」な関係構築に成功した宇宙人は、ラストシーンでこう言うのです。
「我々は、700万年前、初めて地球と接触した」
「そのときは、地球人同士の核戦争を引き起こしてしまった」
「何億パターンもの再計算を行い、信念君との接触が最良であることを突き止めた」
そして、あとがきで作者も言うのです。
「このループの高野信念氏に、深い感謝を」
訳が分かりません。
物語は、宇宙人が実行している仮装環境内で進んでいたのでしょうか?
投げっぱなしジャーマンを二発ほど食らって、本が終わります。
このモヤモヤはどうすればいいんでしょう。
美人の嫁さんをもらう妄想を繰り広げていればいいですかそうですか。
……と、残念ながら、あまりオススメしたくなるような感想は持てませんでした。畜生。
終わりに
ついに、予定していた最終回を迎えることができました。『連載』初挑戦、想定通り、きちんと完走。
id:MoneyReportさんに、挑発ととれなくもない経験談コメントをいただいて、「やったらぁ!」と発起したところは結構あります。ありがとうございます。
読み進めながら連載を開始したため、「……あれ? 期待したほどオススメ度高くないぞ……??」と戸惑いながら進める羽目になったりもしましたが、ちょっとした修行にもなったな、と思います。
今後も、オススメしたい物語に行き当たった時は、「未見者用のオススメ記事」「ネタバレ満載の感想記事」に分ける、というスタイルを、労力と相談しながら採用してみようと思います。
次に感想を書きたい作品は、五つ星だと思ってる作品ですから!
小説を滅多に読まなくなった中で、久しぶりに「おもしろい小説を読めた!」と喜んでる作品ですから!
是非、ご覧ください。
ともあれ、連載につきあってくれた読者のみなさま、ありがとうございました。
(今井士郎)
前回記事(第5回)
連載予告(各記事へのリンクあり)