ぼっちサンプル 今井四郎
私は、あまり友人が多い方ではありません。暮らすに困るほどの深刻さではありませんが、「世間様の平均よりは、人付き合いが苦手だろう」「たまに、つらいこともある」という程度です。
特に、人と「他愛もない雑談」をするのが苦手で、コミュニケーション関連本を読みあさったこともあります。
(今も、目に付くと読みます)
現状を自己診断してみると、以下のような感じでしょうか
- 人と、他愛のない雑談をするのが苦手
- 話すこと自体は好きだが、「相手の喜ぶ」「場を盛り上げる」発言が苦手。にもかかわらずウケを狙うと、だだ滑りして後悔する
- 雑談をしていると、互いに好意(仲良くしよう、喧嘩する気はない、程度の)を持っているにも関わらず、あっさり話題が尽きて気まずくなることも多い
- 部署の飲み会では、うまいこと「人の話に相づちをポジション」につけないと、ちょっとつらい
- 一人になるとほっとする
- 雑談は『息抜き』ではなく『タスク』
- 事務連絡は……得意じゃないかもしれないですが、まぁいいじゃないですか
『深刻ではないが会話が苦手な人』として、わりとよくいるレベルなんじゃないかなと。
会話本を読んでみて膝を叩いた
今回読んだ本は『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(吉田尚記 著 太田出版)です。- 作者: 吉田尚記
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2015/01/31
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少なくとも、星五つ満点で星四つ、しっかり活かせるならば星五つあげてもいいくらいには。
要旨は、以下のような感じです。
- コミュニケーションの目的を、情報伝達ではなく「互いに楽しい時間を過ごせる」ことに置く
- コミュニケーションを、目的(楽しい時間)を達成し、敵『気まずさ』を退治する「協力型ゲーム」と考えてみる
- その『ゲーム』で上達しよう
「コミュニケーションが得意でない、楽しめない人を指す『コミュ障』なんて言葉があるけど、これは『円滑なコミュニケーションくらい、普通なら誰にでもできるはずだ』という前提に基づいているから『障害』なんて呼び方になるんだ。コミュニケーションは『できて当たり前』なんてものではないんだ」という言及は、かなり励みになりました。
(『免許』だと逆ですね。「普通やってはいけないこと」をしてもいいという許可が『免許』な訳ですから)
さて、この本を読んで、どこで「膝を叩いた」か。
それは、私がコミュニケーションを苦手とする一つの理由に思い至った箇所です。コミュニケーションの一手法として「イジる・イジられる」が提唱されていた点。
筆者は、相手を傷つける「悪口」を推奨している訳ではありません。
ただ、楽しい気持ちで「イジる・イジられる」をできると、楽しく会話をできるチャンスが広がるね、と言っているだけです。
でも、私はイジるのもイジられるのも、基本的に苦手です。あと、軽口(物事を極端に言ったり、ツッコミ待ちの安請け合いをしてみたり、みたいな奴です)も。
だから、私は会話が苦手なんだと考えるのは、早計な気もするのですが、いやしかし、これが私のコミュニケーションの選択肢を狭めているのは確かなのです。
『おはなし』が与える、考え方への影響
私がなぜ「軽口」を苦手としているか考えたとき、無数に触れてきた「おはなし」が影響していると思い至りました。河童と「干上がった池に水を湧かせたら、娘をやろう」という約束をして後悔する長者さんの話とか。
「助けてくれたら何千万でも出す」と口走り、助かったら金が惜しくなるのを「醜い姿」として描写されるブラックジャックの金持ちとか。
「おはなし」の世界では、「言葉」が重いのです。
「約束」をしたら守らされ、「悪口」でいじれば、大ダメージを与えてしまうのです。
そんな風に考え方を形成してきた私なので、たとえば重要で私の手に余る仕事について「大丈夫、それは今井がやります」なんていう上司の軽口も、「いや、無理ですよ(本気の拒否)」と受けたくなってしまいます。
基本的な「正解」は「本当ですか? 仕方ないですねぇ」とか「いや、何言ってるんですか(楽しくツッコミ)」だと思うのですが。
「今井はぜんぜんダメだなぁ」という、ダメだし半分冗談半分の指摘も、100%の否定として受け取ってして、凹んだり腹を立てたりしてしまうのです。
自分がこんな考え方の持ち主なので当然、「悪意なく健全にイジる」なんてこともできません。
結局、どうするのさ
この記事で一番言いたかったのは前の章の内容だったのですが、せめて今後の抱負だけでも述べて終わりたいと思います。要は、バランス感覚なわけです。健全にイジられる範囲では気分を害さず、時には相手をイジりさえする。そしてそれを、的確な許容範囲にとどめる。
これができたとき、私のコミュニケーションは、いくらかマシになるのでしょう。
子供の育成によい影響を与えそうな「おはなし」への接触、いいことばかりじゃないかもしれないよ、というおはなしでした。
(今井四郎)
- 作者: 岸見一郎,古賀史健
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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