芝村裕吏氏の小説感想を書きまくろうという連載も、ついに第3回!
折り返しですよ! 折り返し!
本業でダメ出しされてふらふらだったりしますが、ブログ更新は続けるのです。
いつか夢見るブログおやつのために!
今回の書評作品はこれ。
『富士学校 まめたん研究分室』!
- 作者: 芝村裕吏
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/02/21
- メディア: Kindle版
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総評
今回は『この空のまもり』『富士学校 まめたん研究分室』『宇宙人相場』と読んできましたが、素直に一番面白かったのはこの作品(まめたん)です。五つ星評価で、ギリギリ星四つってとこですね。
この作品は、だいたい5つくらいの切り口で語れそうなのですが、今回は3つの切り口で語りたいと思います。
切り口のうちの1つは、存在すると明言すること自体が重要なネタバレになってしまうので書けません。
- エンターテイメント小説として
- 恋愛小説として
- コネタ(豆知識)の山小説として
あらすじ!
アラサーというかジャストサーティーの自衛隊技官、藤崎綾乃は、自分一人しかいない職場で腐り果てようとしていた。
社会人としても、女としても。
(男と男、って感じには腐ってない)
自分に色目を使った年上男性に、「男をだます悪女」に仕立て上げられ、閑職に放り込まれていたのだ。
本当は悪女どころかコミュ障なのに。
30歳で処女なのに。閑職で暇をつぶす彼女は考えた。
復讐をしてやる。
具体的には、研究をして、辞めさせられた後に「こんな有用なことを研究してたのか! なんてもったいないことを!」と悔しがらせてやる。
そうして、彼女の研究は始まった。
自衛隊装備としての、自律型ロボットの研究が。
エンターテイメント小説として
例によって、この作品も、語り口はものすごく軽妙です。さらさら読めるので、ついつい読んでしまうし、続きがとても気になります。
そして、クライマックスのシーンに入ると「おおお!!」と興奮し、クライマックスの中でも最高潮のシーンになると「おおお!? それでいいのか!?」となり、ラストシーンが終わると『あとがき』の文字を見て「おお! 終わるのか! そこでか! おお!」と、なんともいえない表情になっていた気がします。
書いていて自身ピンときましたが、この作品の最大の見所は、クライマックスシーンの最初です。間違いありません。
仕事の休憩中に読んで、続きが気になって仕方ありませんでしたもん。
恋愛小説として
ここは、もうネタバレしても許されるんじゃないでしょうか。相変わらず、恋愛はものすごくイージーモードです。
ただし、主役が女性であるが故に、「自分の願望を重ねてしまいそうなことへの気恥ずかしさ」は相当に緩和されます。
まぁまぁ、楽しく見ることができました。
コネタ(豆知識)の山小説として
この作品は意図的に(作劇の都合とか)嘘を織り交ぜているそうです。作者曰く、「この本に資料性はありません。この本で得た知識を振りかざさないようにしてください」とのことです。
「この本で得た知識を自慢すると恥をかきますよ」くらい書いてたかと思いましたが、思い違いでした。
とはいえ、自衛隊の組織の話とか、企画の練り方とか、「作者はいろいろなことを知ってるんだろうな」(そうでなければ、ハッタリが相当に巧いんだな)と思わせる描写が、随所に見られました。
エンターテイメントとして面白いのは、先ほども書いたとおり「クライマックスシーンの最序盤」ですが、好奇心が一番刺激されるのは、綾乃が「復讐のため」の企画を練っている、その思考過程だったりします。
こんな人にオススメ
- 大人の「研究」風景に興味がある人
- 仕事の進め方、企画の進め方を、フィクションの中で軽く勉強したい人
- アラサーが素敵な彼をゲットする風景を楽しみたい人
次回は、ネタバレ版を執筆予定です。
(今井四郎)
- 作者: 赤尾好夫
- 出版社/メーカー: 旺文社
- 発売日: 1995/06
- メディア: 単行本
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私は断然、Duo 3.0派ですが。
- 作者: 鈴木陽一
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