ここまでは基本的に、スターウォーズ エピソード7を褒める方向で記事を書いていました。
しかし、ネガティブな意味で思うところがなかったわけではありません。
今回は、そういう鬱憤を共有する記事にしたいと思います。
3点。厳選3点だけ、ツッコませてください。
1.フィンの行動原理
冒頭、ストームトルーパーでありながら『改心』してポーやBB-8に助力するキャラクター、フィン。彼はいいキャラクターです。
思いやりがあり、しかし自分の手柄を喜び、保身も忘れない。
沢山の価値観が内部でひしめいている、フィクションとして非常に「おいしい」キャラクターです。
しかし、あまりにも重要な、描写上の瑕疵があります。
「人を殺したくない」って裏切った割に、元同僚の命が軽すぎるだろ!?
彼がまだストームトルーパーとして活動しているシーン。
「戦友の血」で戦闘服が染められるシーンは、なかなか素晴らしいショッキングさでした。
スターウォーズの武器って、基本的に「光線銃」とか「ライトセーバー」とかで、「出血」するイメージがないんですよね。
レーザーを食らうと「傷口が即時に焼かれるので、出血しない」と、SPRIGGANほか、皆川亮二作品で学びました。
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「そうか! ストームトルーパーも、血も涙もある人間として描写するか!」と冒頭で喜んだのも束の間。
結局その後、「出血するシーン」は出てきませんでした。
「血」っていうのは、リアルに近い「負傷」のイメージを呼び起こしてくれる、分かりやすいファクターです。
「ついに使われた」その小道具が、「ご都合主義な導入」にしか使われなかったのは、正直かなり残念でした。
そして、「人を殺したくないから」ストームトルーパーを抜けたフィンは、元同僚やその戦闘機を打ち落とすのに、何のためらいも見せていません。
これは一体、どういうことだってばよ!?
その答えは、作品の中では見つかりませんでした。
「結局、殺すの!? 殺さないの!?」
この答えは、どこかにあるのでしょうか。
2.残念すぎる「強敵」、カイロ・レン
スターウォーズシリーズの中で「よく分からない」要素の一つとして、「結局、フォースってどこまでできるの?」というのがあります。念力のようなものでライトセーバーを引き寄せたり、戦闘機をまるまる持ち上げてみたり、マインドコントロールしてみたり、考えようによっては、「いや、今使えよ」とツッコみたくなるシーンもたくさんある能力だと思います。
そんなフォースを、カイロ・レン(マスクな悪役)は、超実践的な方法で使ってくれました。
光線銃の弾(?)を、途中で止める。
ここまで実戦的なフォースの使い方が、ここまであったでしょうか。
どうせ念力的な力を使えるならば、敵の攻撃をわざわざライトセーバーで弾くのではなく、フォースで止めればいいのです。
すげえ! こいつはすげえ! これまでのご都合主義的な「フォースの使いどころ」に一石を投じる描写だぜ!
と思っていました。
興奮しました。
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そしてそれが、彼の株が一番高かったシーンでした
その後の彼の凋落ぶりは、作品を観た人にはおわかりでしょう。
- 仮面を外してみたら、迫力があるでもなくとんでもない美形でもない、微妙なルックス
- 癇癪起こして、人望がない
- ライトセーバー戦で、フィンもレイ(ヒロイン)も圧倒できるほどの実力ではない
- あえてツッコむけど、奴のライトセーバーの「鍔状のビーム」は何なんでしょう。一歩間違えると、自分が大ケガするだけなんですけど……
こんな奴にハン・ソロが殺されたと思うと、残念で仕方ありません。
3.残念すぎる、フィンの元上司
フィンのストームトルーパー時代の上司は、声からすると女性でした。そして彼女は、後半でハン・ソロやフィンにあっさり捕まり、自分の命惜しさ故に、基地のシールド発生装置の解除に手を貸してしまいます。
最終的にはそのせいで基地か崩壊していましたから、彼女も助からなかったでしょう。
こう考えると、彼女が自分が有利になるように立ち回る、生き生きとしたキャラクターとして描かれていたとは、どうしても思えないのです。
あくまで「捕まって、重要機密をもらすため」にデザインされたキャラであるかのような。
あと、せっかく拘束したなら、マスク外させろよ。顔見せろよ。と思ったのは秘密です。
文句はいろいろつけたけれど
作品がおもしろかったというのは、素直な感想です。観ておいて損はない作品だと思います。
やっぱり、よろしければどうぞ。
(今井士郎)
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