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Classroom☆Crisisは、やはり名作の可能性を秘めている(再放送視聴中)

再放送中のアニメ『Classroom☆Crisis』

『Classroom☆Crisis(クラクラ)』をご存じの方は、読者の中にどれだけいらっしゃるでしょうか?
2015年秋に放映されたSFアニメです。公式サイトはこちら。

この作品、新作として放映されている最中から興味はあったのですが、NHKのお笑い番組『LIFE』と放送時間が被った為に、途中までしか観られていなかったんですよ。
現在再放送中なので、頭から観ているところです。

初回放送中の視聴は、断片的であったとご理解ください。

あらすじ

作品のあらすじは、こんな感じ。

人類が宇宙に版図を広げた近未来。
宇宙船エンジン等、最先端の製品を販売しているメーカー『霧科(きりしな)コーポレーション』は、現役の高校生から形成される先行技術開発部教育開発室、通称『A-TEC(エイテック)』を擁していた。

かつて、自身もA-TECのエースであった主人公・瀬良(せら)カイトは、A-TECの室長(職業上の責任者)兼担任(教育上の責任者)を務めている。
そこに「赴任」してきた高校生は、カイトの「上司」であり「生徒」。
霧科コーポレーションの創業者一族に名を連ねる、霧羽(きりう)ナギサであった。
彼は、金喰い虫であるA-TECを廃止する密命を帯びて、赴任してきたのだ。

A-TECを廃止せんとするナギサと、自身と生徒の居場所であるA-TECを死守せんとするカイト(コスト意識のない研究バカ)の戦いが始まる。

本作品は、商業的に成功したのか

各種資料を揃える余力がない*1ため、印象論で語ることをお許しください。

本作品では、アニメ感想まとめサイト*2の更新が、途中でストップしたであるとか、DVD/BDも売れているとは思えないことから、商業的には成功したとは言い難いという印象を受けています。

反論があれば、喜んで聞きます。

商業的に失敗した作品だろう、という評価を述べながらも、感想記事をわざわざ起こしているのには訳があります。

作品が提示した*3価値観が、アニメで描かれるフィクション世界としては独特だと感じたためです。

主人公たちが所属するのが営利企業である

クラクラの特色と言ったら、この点に尽きます。
これによって本作は、従来のどの作品にも似ていない作品に仕上がっているのです。

「情熱」と「ブラック企業」の狭間で

学生が主人公の作品で、以下のような描写はよく見るのではないかと思います。

  • 深夜に至る秘密特訓
  • 寝ても覚めても、目標に至るための努力
  • 努力に見返りは求めない

「情熱」の名の下に行われた努力は、程度に関わらず「美談」となります。
しかしクラクラでは、ちょっと様子が違います。

深夜・早朝まで生徒たちが「努力」すると「残業代」が発生する上、深夜まで労働者を酷使していることで「労務管理上」も問題視されます。
情熱の塊であるカイトが、経理のおねーさんから「この、ブラック上司が!!」と罵られるのです。

もうちょっと、社会に浸透すべき価値観

「フィクションと現実を混同するな」とか、「オタクはフィクションに影響など受けていない」という言説は、よく目にします。
しかし私は、そういう考えに懐疑的です。

フィクションに感動したら、そこで提示された価値観に影響されるものだと思っています。

「運命の人」と恋愛する作品ばかり観ていたら、「とりあえず、つきあってみる」なんて考え方は汚らわしく思えるようになるでしょうし、自分の全てを注ぎ込んで目標を達成する姿が肯定的に表現されるアニメばかり見ていたら、全てを注げない自分に、罪悪感すら覚えるようになるでしょう。

「秘密特訓」「徹夜で努力」という創作上の表現は、「見返りを求めないブラック労働」が現実世界で横行する理由になっていると、私は確信しています。

だから、クラクラで描かれている以下の価値観は、もうちょっと世の中で一般的になるべきだと思うのです。

  • 「本人がやりたいこと」だろうがなんだろうが、「労働」には対価が発生する
  • 企業が動くためには、営利的な裏付けが必要である。金儲けは、「悪」じゃない
  • 正義の味方がいるとは限らない。みんなが利益誘導の為に動いている中で、どれだけ自分の「利益」や「正義」を実現できるかが大切なんだ

クラクラ。
もうちょっと流行ってもいい、価値ある作品だと思うんですよ。
(今井士郎)

*1:更新がしばらくぶりな点からも察していただけると幸いです。申し訳有りません

*2:2ちゃんねる等での感想記事を編集して記事化するサイト

*3:リアルタイム放送では、9話まで視聴しました