『あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね』を読みました
長いタイトルですね。
藍月要作『あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね』を読みました。
以前に紹介した『俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する』作者による最新作です。
過去作『俺たちは~~』は、上記記事で絶賛する程度には面白かったので、今作『あなたのことなら~~』も気になってはいたのですが、なかなか読書の時間もブログ執筆の時間も取れない生活が続いており。
しかし、作者さんのツイートを見て、慌てて購入しました。
愛されてamazon60レビュー突破、そしてこのありがたい星の数!
— 藍月要@8/28ラブコメラノベ新作発売 (@kaname_aizuki) 2020年11月16日
すごくないですか、この作品、これでまだ続刊決まってないんですよ。
伝説を作ってる気がする。https://t.co/XIHK7kmPAo pic.twitter.com/jC59AeNjxh
かなり好評らしい。
過去作が大好きな私に合う確率も、非常に高い。
ということでまずは、読めなくても売り上げに貢献して続刊の可能性を押し上げるべし。
そして購入から半月後、ようやく読むことができました。
とても、良かった。
『あなたのことなら~~』って、どんな作品?
これはヤンデレではない。繰り返す。これはヤンデレではない。
宣伝文句や噂として、読者が最初に目にするのは「技術系ヤンデレ美少女によるストーカーの作品だよ」という情報ではないでしょうか?
私に言わせると、この作品に登場するHeroinsは、決して「ヤンデレ」ではありません。
私はヤンデレについて深い知見を持っているとは言い難いですが、ヤンデレってこんな感じでしょう?
なんで私の電話に出てくれなかったの
なんで他の女と話してるの
ああそうか、あなたは私と話したいのに、その女が邪魔をしてるんだね
私はこんなに愛してるのに
あなただって私をこんなに愛してくれているのに
だよね? そうだよね? そうじゃないわけないよね?
愛が暴走して「病んで」しまった結果として、極端に自分本位な思い込みに陥ってしまうのが「ヤンデレ」の特徴だと思っています。
技術的ヤンデレ美少女ストーカーとして、読者間でもっぱらの噂になっているヒロイン、久城紅(くじょう くれない)。
ヤンデレのイメージから翻って、久城さんはきちんとした社会常識と倫理観、遵法意識、それに加えて、主人公 宮代空也(みやしろ くうや)君への適切な思いやりを持ち合わせています。
ちょっと、それらが機能不全を起こしていて、異常な行動に対するブレーキになっていないだけなんです!
異常な行動に対する羞恥心も強く持っていて、自己嫌悪に凹んでいる様子を読者目線で見れば、かわいらしいことこの上ありません。
ちょっと好きな人のスマホにスパイウェアを仕込んであらゆるスマホ使用履歴を覗いてみたり、スパイウェア対応のスマートウォッチを、第三者のふりして売りつけたり、好きな人の心拍数に連動してバイブするスマホにうっとりしてみたりなんて、可愛いもんじゃないですか。
……フィクションかつ美少女に限る。
空也君が「<任意のフレーズ> エロ」とか検索しない子だから許されているところが、とても大きい。
後半の展開は、大体ネタバレになってしまうので
導入部に限らない全体の雰囲気についても言及しようと書き進めていたのですが、ネタバレになりそうなのでやめました。
前半の雰囲気からどのようにお話が展開していくのか、予備知識のない状態で進めていくのがベストだと思います。
これ以上のあれやこれやを書くとしたら、ネタバレ版記事を執筆したときに。
『あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね』、おススメです。
明らかに完結してないので、続きを読ませてください。
作者の構想もしっかりあるそうですし。
マジで。
(今井士郎)
読み切った後、異世界物理も読みたくなって一巡してしまいました。