今日も元気に問答御用

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『ゼロ秒思考』実践者が感じた、効能と限界

現在のノート環境

そのうち独立で記事にするかも知れないのですが、私がお仕事で採用している「ノート・手帳周り(手書き)」の装備は、こんな感じになっています。

・手帳:コクヨジブン手帳
・ノート:コクヨ『Campusノート』 B5サイズ100枚綴り(6mm罫)
 無印良品のスピン「しおりシール5本組み」でスピンを追加
・ペン:パイロット『キャバリエ

キャバリエは、こんなに高い奴じゃないです。 3,000円くらいでした。10年くらい前に。

考えつく環境を全て試して至った境地……というほど網羅的にいろいろ試したわけではないのですが、普通の人に比べればいろいろな手帳術・ノート術を試した結果と呼べると思います。

今日は、一時試していた『ゼロ秒思考』式ノート・思考術のお話です。

『ゼロ秒思考』の実践時期と感想

そもそも『ゼロ秒思考』とは?

『ゼロ秒思考』とは、赤羽雄二氏による著書のタイトルであり、氏が理想とする「瞬時に必要な思考が完了する境地」のことです。

そして「ゼロ秒思考」実現のためには、氏の提唱する「A4サイズ白紙への1分間メモ書きメソッド」を繰り返すのが効果的であると説いています。

本を読んで実践を開始した時、こちらで記事にしてましたね。

実践していた時期と感想

上記の記事を書いたのが2015年11月。多分、数ヶ月程度は実践したのではないかなと思います。

コピー用紙を購入して実践していたのですが、500枚セットのコピー用紙を2~3束くらいは使い切ったはずです。

効果はあるが、限界もあると考えて、長期的なメモ術としての採用は諦めました。
現行の100枚ノートに移ったのは、その直後だったと思います。

『ゼロ秒思考』メソッドの効能

本で説かれているメソッドは、「1枚1分の時間制限で、テーマに関する言葉をとにかく沢山書く」というものです。
「何も思いつかないよ」や「困ったなぁ」でもいいから、とにかく手を止めないで、書く。

回数をひたすら重ねる(同一テーマについても、何度でも書く)ことで、思考が加速する、といった効能が謳われています。

私が感じた、このトレーニングの効果は、「『なんとなく』の思いを言語化することに慣れる」ということでした。

快・不快とか、下手をするとそこまですら言語化されていない思考を、ペンを握って文字として吐き出してみる。
そうすると、 「ああ、今、自分は不安なんだ」
「1時間後の上司との面談が不安なんだな」
「実態として、面談に脅威はあるか?」
「叱責されるような……ことはあるかもしれないけれど、それはそれで仕方ないしさ」
「怒鳴られる可能性はゼロじゃん?」
「まぁ、大人しく受け入れなさいよ」
といった文字が紙の上に吐き出される。
劇的な効果があるとは言えませんが、少なくとも気持ちの正体はある程度判明し、少しは落ち着く。

何かを「考え」ていて、有効な考えが何も浮かばない時、本当に「何も思いつかない」ということは、そうそうありません。
頭の中でぐるぐるしているものを、片っ端から「却下」しているだけです。
本当に役に立たない思いつきや無関係な弱音なら、「何度も、思いついては却下する」のではなくて、紙の上に捕まえて目の届くところに置いておく。脳のワーキングメモリを使わせない。
役に立つ思いつきなら、きちんと言語化して、それこそ紙の上に捕まえておく。育てて発展させる。
この「もやもやを言葉にする」訓練として、ゼロ秒思考メソッドは、とても役に立ったと感じます。

『ゼロ秒思考』メソッドの限界

このメソッドは、強制的に「1分(と少し)」で1テーマに関する思考を打ち切ります。
連続で同一テーマについて思考することは禁止せず、むしろ推奨していますが、1分ごとに区切り、紙を取り替え、テーマ設定から数行の箇条書きをする、という仕切り直しを要求しています。

私には、これが苦痛でした。

このメソッドには、仕事中の実用性を求めていましたから、「オフィスで、10枚以上の紙をとっかえひっかえしながらグリグリメモを書く」行為に対する周囲の疑問の目線も、割りとバカにできませんでしたし、1枚ずつの紙に書かれた情報量は、1分で書ける分しかありません。

ゼロ秒思考メソッドは、思考の「フロー」を処理するメモ書きメソッドであり、「ストック」情報(後で参照するメモ)としては非常に不便でした。

そして、実践するためにも、メモ書きを後から参照するためにも、大量の紙を持ち歩くことが要求されます。私は昔から「紙の整理」は苦手なので、学生時代もルーズリーフは決して使わず、頑なに綴られたノートを使っていました。紙の整理が苦手な人に、大量の紙を携帯させるメソッドの相性の悪さと言ったら。

そして、メソッドに従うと「1分で強制的に思考を中断」されてしまいます。
思考がノッているのであれば、ここまで書いた内容に書き加えて発展させたい。内容を深めたい。1分で1から5まで深めた内容を、再び三度1から書き直して6・7・8と段々深めていくより、制限時間で区切らず・内容を捨てずで10・15・20と書き加えて、検討内容を「深めて」いく方がいいじゃないか、というのが、当時から今に至るまでの私の意見です。

著者によると、ゼロ秒思考メソッドをしつこく繰り返すことで、「文字にした思いつき」の精度も急激に上がっていくのだ、ということでした。
先ほどの数字で言えば、1分ずつで到達できる内容が5や6や7だったのが10や15や18に上がっていくということでしょう。*1
しかし、私が実践した限りでは、その点で劇的な効果は実感できませんでした。

私にメソッドが合っていなかったのかもしれませんし、1,000枚やそこらでは、単に実践量が不足していたのかもしれません。

そして「どうせメモ書きで思考を深めるなら、100枚綴りノートが便利」という宗旨に鞍替えしたのですが、赤羽氏によれば自己流のアレンジは禁忌です。愚直に本の通りの方法を繰り返すことを推奨しています。

アレンジは、自己責任で行いましょう。

「深める」のためにノートに移った

今は、紙の上で一人ブレストをするときは、もっぱらノートでやっています。
ゼロ秒思考では、「思考するテーマ」「日付」を書いてから箇条書きを始めますが、私はノートの上に「日付」を書いてありますので、数字4桁の「時刻」を書いてから殴り書きを始めます。

さくっと、「ゼロ秒思考」をテーマに書いてみたのがこちら。
割と思いつくままに書いて、気分で線を伸ばしたりしている様子がお分かりでしょうか。

最近、ノートで思考している例は、もっと断片的な記述のことが多いですが、時には1ページとか、数ページに渡って書き連ねることもあります。
そうなると、いよいよ「1分ごとに1単位」で強制終了する書き方とは、積み重ねるペースが違ってきてしまうのですよね。

私なりのノート術は、そのうち書きたいと思っていますので、機会があったらご覧ください。

「読みたい」というリクエストがあれば、実現が早まります。

最後に

ゼロ秒思考の1実践者としての、効果と弱点に関する見解の記事でした。
ゼロ秒思考メソッドだと「思考を深められない」のが問題だと書きましたが、最近は「思考してノートに書き留める」機会自体がなかなか作れていない危機感があります。
最近のブログ更新活性化は、「考えて、書く」機会を増やしたいという欲求や危機感によるものです。

「仕事の後に、私用で机に向かう」習慣作りとしては、なかなか成功していると感じています。

気分次第では、こうしてブログ用の活字を書くのではなく、公開しない考え事を活字で書いたり、ノートに書き散らしたりすることも選択肢としたいですね。

(今井士郎)

*1:1分で書ける量は肉体の限界がありますから、精度が上がれば「より、答えとして正解に近いものが一発で出てくる」ということでしょう。